見てわからんもんは聞いてもわからん

えらいもんを見てしまった。
別に驚くほどのことでもないけれど、
いわゆる成城マダムの熟年カップル2組を同時に見てしまった。
しかも愛人同士ときている。

成城では老舗で有名な中華レストラン。    
「マダム・チャン」
老舗というだけで、別にこれといった特徴はない。
だけど、やっぱり成城だから高額。
俺なんぞは、仕事の経費でしか行けないような所だが・・・
まぁそれはいい。

仕事の関係の人(以下オシキ)にわざわざ成城まで来てもらって打合せを兼ねて食事していた。
隣のテーブルは、いかにも成城マダムとその旦那と思っていたら・・・どうも会話の端々から聞こえてくるのは、旦那さんには内緒が前提の話。
かといって、同級生には見えないし・・・・
うーむどうみても、2人のマダムは50代半ばだし、男の人は、60代後半。
ほぉええ感じやねぇ。
愛人云々はともかく、この2組のカップルの佇まいときたら、それはそれはいかにもお金持ちの上品でしかもそんな派手ではなく、いわゆるセレブの本物を見てしまったという感じ。

「あら、私どもは、○○○○でございますのよ。」
という会話なんである。
嫌味な感じもまるでもなんでもない。
普通にそういう感じで話している。

オシキと共に、黙りこんでしまった。
こいつも元々大阪の人間。
俺も大阪。
2人で話す時はもちろん大阪弁丸出し。

「なんか大阪弁って、こういう所やったら、アホというか、下品まるだしやなぁ」
そう言われて、俺は「確かに、そういう感じするわなぁ」と思った次第。
まぁそれはいい。

そこでオシキが何を思ったのか、この4人に声をかけた。
「この辺の方ですかぁ?」
まぁ切り出しとしては順当だ。

やはり成城の方々だった。
しばらく成城がどうのこうの、大阪がどうのこうのと、たわいもない話を繰り返していた。

そこへオシキが何を思ったか・・・
「ところで、皆さんはどういうご関係ですかぁ?」と尋ねた。
俺は飲みかけたビールを思わず落としそうになった。
4人を見ると、やっぱり怪訝な顔をしている。
そりゃそうだ。
わざわざ言わすなよという顔だ。

怒られるんではないかと思って、あわてて言った。
「ああ、いやいや、どういう仕事をしていらっしゃるのかという意味です」
すると、4人は、「な~んだ」という顔をして、
「もう仕事はしてないんですよ。隠居の身でねぇ。」と答えたくれた。
俺はホッとした。

しかしオシキはまだ聴いた。
「それで皆さんはどういうご関係ですかぁ?」
アカンがなぁ。
俺のフォローがフォローになってない・・・。
「ああ、すみません、こいつ耳が悪いんですわ」とボケて、しばしの笑いでごまかし、すぐにお勘定してもらい、そそくさとオシキを連れて、店を出た。

オシキは「どうしても言わせたかったのにぃ」と悔しがっていた。

そんなもん見てわからんもんは聞いてもわからんやろ!

なんでもかんでも聞けばよいというものではない。

このブログの人気の投稿

何からでも学び取る人と学ばない人の違い

現在ツイッターに注力しています

リアルとオンラインコミュニケーションの決定的な違いと対処