ジョブローテーションの問題点と解決へのヒント

ジョブローテーションの問題点

毎年のことですが、年が明けて1月から2月上旬にかけては、大抵の企業は来期に向けて具体的な組織体制づくりに入ります。今回はその中の要素の一つ、ジョブローテーションについて、その問題点を考えてみます。

多くの会社では若い内にジョブローテーションを行います。私が見てきた限りでいえば早い会社だと2年単位。長くても3年単位で部署を異動していくというものです。たまに5年単位という会社もありましたが、2000年代に入ってからは、スピード感を持って成長を促すことが重視され、よほど体質の古いままの会社でない限り、そういうことはないようです。

ジョブローテーションの悪しきパターン

悪しきパターンというのは、会社自体がわざわざ自分たちで頭の固い組織づくりをしているように見えるという意味です。このパターンは大きく分けて5つあります。

1.今、必要だから異動させない

中小企業で多く見られるパターンです。人材が豊富にいるわけではないので、これは致し方ない部分もあるとは思います。ただその人の将来像や次のステップを見据えているか否かの違いです。将来像や次のステップを示さず、ずっと同じ部署・ずっと同じ仕事をするようになっていると、どうしてもマンネリが生まれ、モチベーションはダウン。「どうせ、どうせ」という内なる会話が生まれてしまい、会社に対する不平・不満が溜まっていく一方です。最悪の場合は、会社を去っていくということにも繋がります。
対策として、ビジョンに基づく将来像を見据えた「育成プラン」とその実行が必要です。

2.役に立たない人材は異動させている

特に営業系で多いのが、このパターンです。もちろん人材そのものの向き不向きもあります。ただ問題は「役に立つ、立たない」の判断基準をどこにおいているのか?ということです。事業そのものの推進に関して貢献できない人材なのか?それとも上司の不足している能力を補う意味でも役に立たないのか?それとも、部署内における人間関係がよくないからなのか?感情的な好き嫌いなどといったところです。
事業の推進に貢献できないと判断するタイミングがあまりにも遅くなり、異動させた場合、大抵の場合、その人材のポテンシャルは低くになります。希望していた部署への異動やより大きな次のステップをしめしてる場合は別として、当の本人も会社に対して嫌気がさしてくるでしょう。ましてやビジョンに共感している人材であれば’尚更です。
上司の不足能力を補う意味で役立たないので異動や人間関係が良くないといういうのは、上司のリーダーシップやマネジメントの問題であって、異動させられる側の問題ではないのがほとんどです。ましてや感情的好き嫌いの場合は、もはや論外。上司として敬れることはまずないでしょう。これは気をつけたいものです。

3.人数不足を補うために異動させている

業務を担当する人の数が足りないというのは、一時的なのか、慢性的にそうなのかを見極める必要があるでしょう。慢性的であるならば、少ない人数で生産性を維持する以上の仕組を早急に構築する必要がありますが、それもしないのでいるのは、単なる怠慢でしかないと思われても仕方ありません。これもビジョンに向かう上での、人材の確保という視点が抜け落ちている表れでしょう。今後、人材不足が予想されているので、採用計画とその実施もビジョン実現に向けて必須となってきます。

4.仕事を覚えるまで異動させない

もちろんそれはそうです。それは大事なことです。ただ完璧はないということです。そして全部を覚える必要が本当にあるのかということです。その業務の基本的なことを覚えてしまえば、後は本人の工夫であったり、ナレッジ共有でなんとか成長していけるものです。こういった取り組みを会社とすることなしに、いつまでも同じところに人材を置いておくのは、もしかすると会社自らの可能性をも失ってしまうことに繋がりかねません。そうするとビジョンどころではなくなります。

5.嫉妬や好き嫌いで異動を図る

これらは論外です。自分以上にできる能力を発揮する部下がいる場合に、それを素直に認めることが出来ずに追い出す。あるいは感情的に「好きだから残す」「嫌いだから出す」といった異動を図る人もいます。話になりません。人事に関わることは早々に身を引いた方が良いです。

無理やり5つに分けてみましたが、実際はこの組み合わせになっていることが多いようです。突き詰めると5番が最たる理由になる場合もあるので、気をつけたいものです。

スピード重視の異動をする

他にもパターンはあるにはありますが、概ね上記の4つに大別されます。弊社としてのアドバイスとしては、スピードが要求される時代になっていくということを踏まえると「1年で6割覚えたら異動」もしくは「2年で概ね抑えたら異動」というのを推奨しています。実際、多くの場合、それでもしっかり回っているのが実情です。ただし上記の仕組みづくりや上司の自覚があってこその話です。

会社の取る悪しきパターンばかりを書きましたが、反対もあります。つまり人材側にも問題はあります。それはまたいずれ書きます。



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