2015年11月10日火曜日

完璧な評価はないというのは本当か?

評価をする時期になると、管理職の人々は、憂鬱になるらしい。いや、なる。それでなくても忙しいところに、面談をして、しっかり評価を伝え、納得を得ることに神経を使う。できればそんなことはしたくないと思う人もいるようだ。そうは言っても、部下の評価は管理職の大きな仕事の一つなので、これはしっかりとやり遂げねばならないだろう。それをしなければ会社は回らなくなるし、誰もが困ることになってしまうのは言わずもがな。

どんな業界でも、いろんな管理職の人がいて、迷ったり、悩む人は実際多い。悩んでいる内はまだいい。なんとかしっかりと全うしようと考えているからだ。しかし考えることを諦めてしまった人や、定期的な決まりごとだからと機械的にやっている人や、ルールや制度をよく理解せずに自分なりの解釈で留めている人や感覚・感情で進めている人、「あいつならこれで十分だろう」とする人も一定数いる。このような人に評価される部下にしてみると、これらのテキトーさは、たまったものではない。

「いやいや私はしっかりちゃんとやっているので大丈夫」と思っていても、やっぱりどこかで見逃していることもある。だからといって神経質になってでもやりなさいということでもない。慎重すぎても困るし、ざっくりでも困る。そこでちょうどいい具合に調整すれば良いということでもない。

言いたいことは一言だ。

「責任を持って、真摯にやってくださいね!」ということだ。

なんの解決策にもならない一言であるのは重々承知の上での一言だ。だけど、当たり前のことだ。この当たり前を忘れてしまっている評価者が一定数いるのだ。と・・・評価者側を悪者扱いするつもりはまったくないのだが・・・。

なぜ、そんな当たり前のことを敢えていうのか?どんな評価制度でも完璧なものはないからだ。それは上司が部下を評価する。人が人を評価するのだから完璧にできるものでもないだろう。そこに納得が生まれ、向上心も生まれ、仕事や生活の質が向上していってナンボのものだろう。これが評価そのものの正体だ。

➽➽評価面談に完璧なものはないからこそ真摯に取り組む

評価面談の目的は大きく3つ。人事考課、人材育成、動機形成の3つだ。そして大抵の企業で仕組みとしての評価も3つで能力評価、態度評価、成果評価で構成されている。

一人につき一回の面談、もしくは数えるほどの面談で、この3つの目的を果たし、仕組みとしての3つを回せるのかは、評価者の技量次第だろうが、実はそれだけではない。そのことについては最後に書く。まずは評価する側の技量に関してを見ていくことにする。

評価面談には準備が必要







➽会社の方針によって何を重視するかは違う

評価の目的を人材育成的な意味での成長や動機形成に重きを置くのか、それとも結果的な意味での評価に重きを置くのか、会社としての方針がどこに重点が置かれているかで変わる。方針はもちろん理念やビジョンから来ているものだ。

例えば、以下の目的例は同じようでも、まったく違う結論になる。

「評価結果を伝えることで、上司と部下のコミュニケーションを図る」

「評価結果を伝えるために、上司と部下のコミュニケーションを図る」

前者は評価が確定していて、交渉の余地はなく、コミュニケーションの目標は評価される側から納得を得ることだ。後者は一応の評価はあるが、コミュニケーションの目標は、双方の合意を得るとことだ。たった2文字の違いで、意味合いは大きく変わる。

評価者がまずしなければならないことは、評価面談の目的が何であるかを確認し、そのために面談の場をどのようなものにするのかを明確な意図として持つことだ。そして、この目的を理解せず、意図も持たない評価者がいるのは、困りものだ。

➽評価の目的やその影響を理解していない評価者

大抵の場合、目的をしっかりと理解していない評価者の傾向として、準備が不十分だ。いわゆる「忙しいこと」を常に言い訳に持っている人達だ。忙しいことを言い訳にするのは、事実だろうから別に構わないとが、それと評価ができるできないは別問題だということは把握してもらいたいところだ。要するに時間的に追われてしっかり評価していない。これは「評価者としての意識の有無」の問題だ。

また、これまた多いのが、そもそも制度のルールを把握していないということだ。面談の進め方もわかっていないといった知識・スキルの問題でもある。一回訓練したからそれで十分、あとは実地で・・・というのは、あまりに酷い。

こと評価に関しては、仮説でやるものではないから、実地訓練なんてものは、前提として設定するものではないし、評価される側にしてみれば、「はぁ?何しちゃってくれてるの?」てなもんである。

また目的をしっかり理解していないがために、面談を人材育成の機会に活かそうと思っていないといった管理職としての意識の問題もある。

そして目的や重点がどこにあるのかを管理職が長い人でも知らない人が一定数いて、彼らは感覚や感情で評価する傾向があることも統計で報告されているのを見たことがある。(残念ながらそれが何であったか忘れたが・・・)

➽思い込みの心理バイアスに囚われたままでいる。

感覚や感情で評価することで多いのは、日常会話の中でも頻繁に出てくる「先入観」による評価で、私はこれを「無意識の垂れ流し評価」と呼んでいる。よくあるのは、直近の出来事に影響されて評価をすることだ。

ずっと良い成績・成果をもたらしている人がいて、「これがしっかりできているということは、あれに関してもきっと良くできているはずだ」というものだ。蓋を開けてみれば、その「あれ」はチーム内の他者がやっていたことで、その人のことではなかったということがある。評価される側にとってはある意味ラッキーかもしれないが、「そういうことだから、次はこの辺りの仕事をやっても大丈夫だよね」という話の展開になることもある。ここで受けてしまって、後で評価がだだ下がりになるというのは、よくある話だ。

また、嫌いだから、扱いにくいから、育てる気が起きないからと低い評価を下す人もいる。これは年配の上司・評価者に多い。言葉を変えれば老害以外の何者でもない。ちゃんと話し合うこと自体を避けてしまっているのだ。

➽評価者のやり方次第・見方次第で悪影響が出る

評価者の先入観ほど怖いものはないが、次に気を付けたいのが、面談において認識のズレから場の空気が固まってしまうことだ。

評価を受ける側が「これだけのことをしてきたのだから、評価としてはこれぐらいだろう」と考えていたことに関して、評価をする側が「これだけのことをしてくれたが、全体から見るとこのぐらいだろう」というものから生まれる認識のズレだ。ここで起きるのは、「納得できない」というものでしかない。最悪の場合、険悪なムードで固まってしまう。双方が譲らずに平行線を辿ることにもなる。一般的な企業ではこういったことは起きにくいとされてはいるが、実際は起きにくいのではなく、起きないようにしているだけだ。それは2つある。

一つは、視点(見方による)ということだ。確かにその通りだ。そしてその見方によるということは大切な考え方だ。しかしこの一言だけで片付けてしまっている。映画やドラマ・小説ならば、それで済む。でも実際はそうもいかない。見方によるのだということに関して理解をしっかりと得られるように説明をしているかどうか。これが重要だ。

二つ目は最悪のパターンだ。食い違いが起きないようにするため、険悪にならないようにするため、もっというと評価者自身いい人でいたいからこその「中心化的評価」をしてしまうということだ。要するに可もなく不可もなくという評価だ。誰のための評価をやっているのか、何のための評価なのかがもはや不明だ。

この2つの食い違いを起きないようにするパターンは、突き詰めると、そもそもが、前提となる目標設定をしっかりせずにテキトーにしかやっていなかったことに起因している。

➽➽評価者によるコミュニケーションの3つ

じゃあ、どうすればいいのかということだが、明確な回答を私は持ち合わせているわけではない。ただ冒頭に書いたように「真摯に評価する」ために、しっかり3つのコミュニケーションをしてくださいとだけしか言えない。

➽面談評価の目的は何かをしっかりとした言葉として伝える

面談場所にあるホワイトボード、なければノートに書いて見せる。あるいはパソコンに表示するぐらいのことはしてもいいだろう。しっかりと目的を確認する重要性は、長々と上記した。もっと言い出せばあるだろうが、単に評価者をディスるだけに終始してしまうことになるので、もう十分だろう。

➽部下(評価対象者)の話しを聴く。ちゃんと聴く。

評価される側の人の今後の仕事や生活の質に関わるのが評価であるのだ。普段のコミュニケーションも大事だが、この段階でのコミュニケーションはしっかり最後まで、彼らの話を聴く耳を持っていなければならないだろう。彼らの話は過去と将来に渡っての話の両方があるので、過去に注目しがちな評価者は気を付けてもらいたい。

➽近い将来や今後を見据えて話す。

そして評価者であると同時に管理職であるので経営幹部の一人であることを意識すれば、自分が担当する評価対象者の近い将来の仕事や、今後の成長を考えた上での評価をしなければ、彼らに明日はない。これには彼ら自身が描いている将来像を評価者側が把握しているかどうかで大きく変わる。

そうやってこれら3つを通じて部下の成長を促す。しかし必要以上の期待をかけないことも肝要だ。必要以上の期待というものが、また感覚的・感情的バイアスを生み、判断を鈍らせてしまうことになる。

➽➽評価者の技量次第だろうが、実はそれだけではない。

冒頭で、「評価者の技量次第だけではない」という旨のことを書いた。これには昨今、評価者をしつける風潮が強く、評価対象者を甘やかす風潮を感じるからだ。評価面談をちゃんとやるのは上司の仕事とはいえ、「何故、評価される側の準備不足が自ら望む評価を得られないこと」につながっているのかを教えるコンサルタントや講師や書籍はないのか?これは私のなかではずっと謎だ。

だいたいが評価される側も、面談の場でしっかりと主張していないこともある。自分のことなのにしっかり考えずに評価面談の場に臨んでいる人も一定数いる。私自身が会社に勤めていた時は、評価面談の場こそ、会社に自分の成果やチームの功績を認識してもらう唯一の場所であって、その上での評価の認識のズレを修正して、自身やチームにとって有利に持っていく交渉の場であると考えていた。そして、その機会を逃せば、次の機会まで評価が良くなることは一切ないのだから、しっかり準備していた。交渉の場であると思っていたので、繰り出すカードもできるだけ用意して臨んでいた。自分の人生がかかっているし、やりたいこともあるし、それを通じてチームとして成し遂げたいこともある。それを実現できるきっかけをつくる最大のチャンスであると考えれば、準備をすることは当然だ。手ぶらで面談に臨むことはあり得ないとさえ考えていたし、そうしていた。会社を敵視していたわけではない。業績に対する貢献をすることで評価を得るのだから、お互いにちゃんと認めなければならんと考えていただけのことだ。

それでやっと、両者間で納得と次への活力が生まれるわけだ。評価者が目的と仕組み、手順を理解し、評価対象者自身もしっかりと準備をして臨めば評価というものは完璧でないにしろ成立する。

むしろそうしなければ、完璧な評価というものはないというのは本当だということだ。

2020.11.09追記

私は面談評価の場は、交渉の場であるとも考えていたので、理解してくれる人と理解してくれない人と真っ二つに分かれた。そのことに悔いはなかった。多分にエラそうな社員だっと思う(笑)私のようにやらないとしても、評価を受ける側としても、しっかりと準備をして、交渉といかないまでも、しっかりと自身の話をしてもらいたいと思う。

今回の記事は、2015年に書いていたもので、若干の加筆修正をした。クライアントの管理職一年目で初めて評価に臨む方からの「評価の目的」に関するリクエストがあり、過去記事再掲のきっかけとなった。感謝している。

2015年8月23日日曜日

顧客ニーズがわかれば提案の幅は広がる

私が担当することになった「営業活動改善プロジェクト」の話。営業担当者としては、まだまだ若手と言われる人達と超ベテランと言われている人達がメンバー。

営業担当者の改善課題の一つに顧客ニーズを聞くというものがある。いわゆる「ニーズヒアリング」というものだ。
しかし「ヒアリングしても、わかりきったようなことだけしか出てこないし、どうにもこうにも提案に結びつかない。」ということが多いと言う。詳しく聞いてみると、顧客ニーズをヒアリングして提案に結びつかない理由が浮き彫りになってきた。
この理由は「顧客ニーズヒアリング」がうまくいかない他業種でもよくあることで、以下の3つに大別される。

肝心なこと、聞いてなかった

●そもそも顧客ニーズというものが何であるかを理解していない。
●こちらの都合にあったことだけを記録している。
●顧客ニーズのなかには答えはないと考えている。

そもそも「顧客ニーズ」というものが何であるかを理解していない。

まず疑問に思ったのは、「顧客ニーズ」を聞くことに関して、営業担当者が準備できているのかということだった。確かに研修やトレーニングも受けているので、「聴くこと」そのものやヒアリングすることの重要性は理解している。それが提案に結びつくことも知っているのも確かだった。
しかし、ただ「知っている」だけのことで、肝心なところを理解していないのがわかった。それはニーズとウォンツを区別して捉えていないということだった。

簡潔に言えば、ニーズは「顧客がなんとかしたい、こうなりたい姿や状態や欲求」として表現される。ウォンツは「その解決手段」である。辞書的にはウォンツは欲求でもあるので、ややこしいが、営業やマーケティングでは欲求はニーズであり、それは顧客自身の目的とされる。言葉の意味合い的には少しややこしくなるが、この単純な違いを区別をしていないことから、営業活動上のコミュニケーションが表面的な会話に終始してしまうことになる。

多くの場合、顧客からは「○○○が欲しい」と具体的な商品やサービスが出てくることが多い。「エステを受けたい」「スマホが欲しい」「ヒアリング手法を身に着けたい」といったものだ。プロジェクトの営業担当者はこういったものをニーズだと勘違いしてしまうことが多い。
 
具体的なものが出てくると、営業担当者としては、これ幸いと言わんばかりに飛びつく気持ちは理解できる。私も経験がたくさんある。しかし「ヒアリング」して聞きたいのはそういった具体的なウォンツに留まらず、その奥にあるニーズだ。じゃあ、何をどう聴けばいいのかということになる。
 
顧客の答えが具体的であればあるほど、あるいは、固有の商品名やサービス名などが出てくれば、それはウォンツであり、解決手段であるということを認識しておくことが必要だ。
そしてニーズを探るには、最初に出てきたウォンツ的な言葉に飛びつかず、これを更に掘り下げていくことが必要だ。
  
「なぜ、エステを受けたいのですか?」と聞いてみれば、「綺麗になりたい」「痩せたい」といった答えが出てくるだろう。更には「今のボディラインを保ちたい」ということもあるかもしれない。実際には、このような聞き方をしないと思うが、あくまでその商品やサービスを選ぶ理由を聞きたいのだ。
まずは、ニーズとウォンツを区別し、ウォンツが出てきた場合、それにどのような価値を見出しているのかを知ることがヒアリングのスタートラインだといっていいだろう。

こちらの都合にあったことだけを記録している。

更に気になったので、ヒアリングを記録したノートを見せてもらった。そこには、日付、場所、相手の名前、ヒアリングのテーマが書かれていた。他には、単語で「サービス名」、「値段」や「納品日時」に関する相手の要望が書かれており、メモ程度で終わっていた。これでは御用聞き営業でしかない。
そこで、そのノートの所有者である営業担当者に質問してみた。

質問:このお客様は、なぜ、このサービスが欲しいと言っていましたか?
回答:必要だからそういう話しになったんだと思います。つまりはニーズだと思いました。

質問:その提案したサービスにお客様は満足されていましたか?
回答:えーと、これしかないんだったら、仕方ないわねって契約していただけました。
 
質問:そのサービスにするという結論に至るまでに、どんな話しをされていましたか?
回答:あまり思い出せないんですけど・・・

質問:じゃあ、そのサービスにするにあたって、なぜそのサービスを使ってみようと思われたのでしょうね?
回答:・・・・・・随分以前のことなので、ちょっと思い出せないけど、確か、気持ちよさそうなので、リラックスできるかなぁとか言ってたような・・・ああそれと、リラックスできれば、ストレスも解消できそうだし、それだけよく眠れるかもしれない・・とか言ってました。

質問:なるほど、それでは、気持ちがよくて、リラックス効果が期待できるものは、このノートに書かれているサービス以外に何かありますか?あるいは睡眠を良くするものなど、もちろん自社で提供できる範囲でいいですよ。
回答:リラックス効果が期待できたり、睡眠を改善するという意味では・・・、ウチだと他にも、え~と、2つぐらいあります。

質問:そのお客様は、他の2つのサービスのことをご存知ですか?お伝えしましたか?
回答:・・・・わかりません・・・・多分知らないと思います。これまで案内したことはないので・・・あっ、これだったら、全部で3つの提案ができますね。ああ、そういうことか!ヤッバァ~、なんで書いてなかったんだろう?・・・ああ、サービス名が出てきたから、それに飛びついたんだ。駄目じゃん私。」と途中で気づいていた。

質問:もちろん3つ提案はできるとは思いますが、会社としてプッシュしていたものはどれですか?
回答:最終的に契約してもらったものです。・・・・あっ、結果としてはマルなんですか?

質問:結果としてはマルでしょうね。ただそれに関連したものの案内をできていればもっと良かったとすればどうしてました?
回答:契約いただいたエステのオプション以外にも、お持ち帰りいただけるローションなどの案内もできていたかなぁって思います。

質問:次にヒアリングするタイミングがあったら、どうしますか?
回答:相手のウォンツに飛びついたとしても、お客様の声をしっかり聞いて、なぜそれなのかを確認してみて、違うものの可能性を探ってみたり、関連する商品の追加オーダーを探ってみたいと思います。

質問:はい、それを顧客志向の営業スタイルといいます。固有のモノやサービスに対して顧客が何を期待しているのか?裏返せば、そこにニーズ(相手の欲求や目的)があります。これがわかれば、提案の幅は広がり、顧客に選択してもらいやすくなりますね。

この営業担当者の気づいたことは、顧客との会話のなかで、ニーズを聞いていたにも関わらす、これを記録していなかったため、御用聞きに終わり、値段勝負の提案になってしまっていたことだった。

ノートやメモにどのような内容を記録するのかは人それぞれだが、せっかく聞けていたニーズを記録しないのは、自ら機会損失しているようなものなので気をつけたいところ。
しっかり記録しておけば、提案をつくる際に、振り返る時にも、生々しく、蘇ってくることもある。
自分の仕事に直接関係ないところにもニーズが隠れている場合もあるので、しっかり記録は取っておきたい。

顧客ニーズのなかに答えはないと考えている。

私の経験だけでいえば、確かにニーズには「答え」はある。いや、正確には「答え」であったり、「答えめいたもの」がある。ここで言う答えはあくまでもニーズ。ここを聞き落としている営業担当者は意外に多い。
では、なぜ顧客ニーズヒアリングをして、営業担当者が欲しい答えが出てこないのか?
答えは簡単だ。ウォンツとなるものを求めているだけだ。つまり営業担当者にとって都合のいい答えを顧客がしてくれることだけを考えていて、その顧客が抱えている問題や欲求を捉えようとしていないからだ。

営業活動の一環で、顧客ニーズを聞く機会は確かに必要だし、どんな業種であっても、ヒアリングするプロセスは定義されている。そしてそのトレーニングも研修やOJTで行われている。しかし学んだ通りにヒアリングしても、一向に「答えらしき」ものを聞き取れずに時間切れになってしまうことが多々あると言う。

こういう状態を繰り返せば、「顧客ニーズのなかに答えはない」と思えて来るのは当然だし、そのうち「どうせ聞いても、大しことは出てこない」としっかり聞くことをやめていくことになる。

この「時間切れ」というところは、BtoBにおいてはそもそもアポを入れる段階で、次回訪問の際に「○○○について、じっくりお聞かせください」と目的を伝えているのかどうかで、「時間切れ」を防ぐことは可能になるだろう。それはBtoCでも日時の約束が取れる相手であれば可能だろう・

営業担当者と同様、相手も忙しい。アポを取る段階で訪問目的を伝えておけば、相手もそれなりに考えて答えられるように準備はする人は立場が上になるほど多くなる。(絶対ではないけれど)訪問目的を伝えておくことで、相手の準備を促すことにつながるのだから、これは押さえておきたいところ。

一度研修やトレーニングを受けたとしても、それが習慣にならなければ、一過性のものになる。このプロジェクトでは、メンバー自身が、まずニーズとウォンツの区別をしっかりできるようにトレーニングを重ねることにした。

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【2021.08.21追記】 
上記の記事は、2015年に書いていたものに2018年に加筆したものです。当時はヒアリングといえば、じっくり聴いてしっかり受け取り、記録することが「是」とされていた。ところが 新型コロナ感染拡大で、5回目の緊急事態宣言が発令され、感染者数は増加傾向にあり、病床数は逼迫、医療崩壊寸前と言われているなか、それでも営業活動をしなければならない担当者にとって、長時間のコミュニケーションは非常に難しくなった。こちらがよくても相手が嫌がるし、相手がよくてもこちらが心情的に前向きになれないだろう。
オンラインに切り替えやすいBtoBならばともかく、BtoCのビジネスにおいては、なかなか難しいのが実情だ。だからといって諦めるわけにはいかない。
考え方としては、一回の会話をものの数分で終わらせ、これを繰返していくしかない。 

この時に有効なのが、BtoBの営業担当者がやっているニーズ仮説を立てるということだ。詳しくは改めて記事を作成するが、ざっくり言うと以下の流れで進めていく。
1)これまでの経験値から、ターゲットとする顧客ニーズの仮説を立てる
2)仮説に基づいて選択肢を3つ程度考え、わかるような資料を用意する
3)ニーズ仮説に基づいて、クローズ質問で確認する。
4)仮説がヒットしていれば、3つの提案を手短に話す
  仮説がヒットしていなければ、何がニーズかを聴いてみる(上記のものを参考に)
5)次回の訪問アポを入れて、それまでに考えておいてもらうように依頼する
ざっと3)~5)まで3分~5分程度で済むように訓練する。
1)2)をしっかり作り込んでおくことが重要ではあるが、完璧を目指さないようにする。

この流れをつくってしまえば、ソーシャルディスタンスを保ちながらも短時間でのコミュニケーションも可能となるし、顧客側も自分のことを理解してくれていると安心できるだろう。何も奇をてらったやり方をする必要はない。今まで時間をかけて一回で済ませていたことを、短時間数回で分けてすすめる方法を考えることが求められているのだと切り替えることだ。
ただし従来のやり方を【是】と考えている限りは、この切り替えは難しいだろう。
柔軟に頭を切り替えて、すぐにでも取り組むことをお勧めする。
 
また、リアルコミュニケーションだけに留まらず、メールやSNSを使って1)2)を済ますことが望ましい。相手が高齢者だから、ITには弱いだろうと思っているのは大間違いだ。読むことぐらいは高齢者であっても、既にできるレベルになっている。
高齢者がITは無理だと言われていたのは、今から20年ぐらい前の話だ。その頃現役バリバリだった40代が高齢者になっているのだ。苦手に思っていても、使えない人の方が少ないと捉えていて間違いないだろう。

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