2018年4月30日月曜日

社員参加型経営を実現する鍵はメッセージにある。

社員との距離というジレンマ

社員全員参加型経営という言葉を聞いて久しい。会社組織は不思議なもので、社員数も増え、事業も軌道に乗り始めると、トップとしては、より大きな目標を掲げ、これを目指してやっていくぞと旗を振ることになります。そうしたいかどうかは別として、そうしなければ、雇っている社員の成長意欲が止まることを知っているからです。その反面、社員との距離が遠くなるというジレンマに陥る経営者も多々いるのも事実です。

そこで経営手法として、数年前から「社員全員参加型経営」というものが出てきましたた。小さい集団から始めるスタートアップなどの起業したての小さな会社であれば、このジレンマに陥ることはほぼないでしょう。むしろ、事業部を複数抱え、総務・管理部門を持つ中小企業が成長するにつれ、陥るジレンマです。
私も「社員全員参加型経営をしたい」と相談を受けたことは少なくありませんが、本当の意味で実現している会社は多くはないのが実情です。

社員参加型経営を実現する鍵はメッセージにある

社員全員参加型経営には様々なやり方がある

弊社が提供してきたものも含めて見聞きしてきた進め方としては、大きく分けて5つです。
1.ビジョンや経営計画の策定、実行を全員で取り組むこと              
2.社内の業務プロセスを全社員で再構築すること                  
3.社員全員参加の研修などを設定し、共通言語をつくること             
4.社員持ち株制度を導入すること                         
5.会社の売上から給料決定までのお金の流れを社員全員が理解できるようにすること

どれかひとつもしくはその組み合わせといったところです。どれも良いものだし、間違っているわけでもありません。これらに取り組むことは相当なエネルギーが必要だし、道半ばで頓挫してしまってもなんら恥ずかしいものでもないでしょう。むしろ、道半ばで頓挫したとしても、確実に成長は図れている企業の姿を私は何度も目にしてきました。

道半ばで頓挫する理由はそれなりにある。

頓挫する企業に見受けられる理由は、ほとんど共通しており、おおよそ以下の6つです。

1.問題を担当部署の責任として解決を求める。
役割責任という意味では、間違いではありません。しかし問題解決イメージを持たないまま進めても意味をなしません。取り扱う問題が明確になっており、その重要度・影響度が高いものは、他部署であっても解決イメージを持っている人材を中心に進めていくと良いでしょう。その方が圧倒的に速く解決に辿りつきます。解決できないまま危機的な状況に陥ってしまってからでは遅いのです。

2.ビジョンの共有化が図れていない。
ビジョンを掲げたものの、社員一人ひとりが自分自身の価値観や成長とビジョンのアライメントが取れていない場合、共有化はなされないものです。ビジョンは絵に描いた餅のままで、妄想のままです。単に共有するだけならば、それでも良いと思いますが、「では私はこうする。これに重きを置く」と社員一人ひとりが判断できるレベルまで落とし込めなければ「共有化」ではありません。ビジョンが曖昧であるならば、それは表現なのか定義なのか、あるいは全員の理想にするためのプロセスがないのかを見直す必要があります。

3.戦略づくりとこれに伴う権限をトップが握ったまま
戦略づくりはトップの大きな仕事です。そして本当に必要で重要な情報はより現場に近い者がよく知っています。しかし彼ら現場は戦略づくりにそのまま活かせるような「言葉」を持ち合わせていないこともあり、聞いただけでは、ほぼ有益なものは出てこず、戦略づくりは無理だと考えてしまうことが多いようです。現場の声を聞き、その内容をそのまま反映することが重要なのではなく、聞いた上でどうするか・・・いったん抽象化し、これを吟味した上で具体化する・・・の判断とその対策に対する意思決定が重要です。

4.現場が自由裁量できる幅を持たせていない
これは上記3にも通じることです。戦略をカタチづくって、実行するのは、あくまで現場です。この現場に自由度がなければ、戦略は単なるルールになるだけで、窮屈な思いをします。経営陣にとっては「当たり前」のことでも、現場にとっては、小さな窮屈さが大きくのしかかります。かといって、経営トップが現場の声を聞きすぎると、往々にして「3」に戻ることが多いので注意したいものです。戦略性を保つことはとても重要なのですが、実は実行段階においては、自由裁量できる幅が広いほど成功するようです。

5.問題解決思考、戦略思考の人材を育てていない
「育つ人材はかってに育つ。」これはこれで間違いないものです。そして重要なことは、育てることで、育つことで様々な環境変化に対応できる人材も出てくることです。しかし時間はかかる。あるいは集中して育てる期間が必要となる。短期的に育成しようと、あれこれいろいろなプログラムに手を出すくらいなら、一つか二つにしぼって徹底的に続ける方が確実に成長するものです。

6.リーダーとしてのメッセージがない。
リーダーシップには様々な型があります。サーヴァント型、コーチ型、指揮官型・・・云々。しかしリーダーになりたくてリーダーになった人は過去の偉人にもあまり見当たりません。彼らに共通しているのは、やることなすことにメッセージが込められていたことです。どんな型であろうが、どんな人であろうが、どんな立場であろうが、いずれにしても、やること言うことひとつひとつに社員に対するメッセージを込められているかどうか?これが蓄積されるにしたがって社内コミュニケーションのコンテキストになります。更にコンテキストは社内の風土・文化につながります。

リーダーに最も重要なものはメッセージ

弊社ではリーダーにとって最も重要な要素として見ているのは、「6.リーダーとしてのメッセージがない」というところです。
経営トップがリーダーとして、メッセージを発信することは、社員一人ひとりに向けた言葉ではありません。(そんなことは誰でも知っていると聞こえてきそうです。)そしてこれが蓄積されていくにしたがって、トップに言動一致があるのかないのかを社員は見て取ります。
メッセージが単に言葉で終わってしまい、言動一致が見受けられなかったら、幹部社員はそれを見抜きます。見抜かれただけならまだ良い方です。それが「やらない理由」「考えない理由」になり、そして人材が育つ環境はいつまでたっても整備されずとなっていくと考えるとどうでしょう。あるいは自分の都合のいいように部下に話しをする幹部も出てくきます。一見、自分で考え、判断しているように見えますが、実はそうではないということがあり得ます。
部下に言いにくいことや、自分がやりたくないと思っていること程、どう伝えるかを考えず、「社長が決めたことだから」という断れない理由に使うことがあります。これではメッセージも何もあったものではありません。しかし、「言動一致」が見られないことに起因すると考えれば、それほどまでに経営トップのメッセージは重く、影響も大きいということです。
リーダーとして発した言葉によって、何が伝わったか?社員一人ひとりに届いたかどうか?そこにメッセージがあったかどうかが、社員全員参加型の鍵となります。それどころか社員全員参加型かどうかに関係なく、どんな経営手法であっても重要なものでしょう。


2018年4月14日土曜日

北極にいてもバナナを見つけてくる人の採用に必要なこと

【突き抜けている人を探せ】

毎年春になってくると、多くの企業は新卒採用に向けて、会社説明会などを始める。
この時期、経営者や幹部からよく聞くのが、「突き抜けている人材」や「新しい風を吹き込むような人材」というイメージ。
例えて言うなら「北極にいてもバナナを見つけてくるような人」が欲しいということ。
新たな発想で物事を進めていけるような人材ということだ。
特に営業系やマーケティング系への配属となると、競合と戦うことより、独自の視点で新たな市場を築くことの方が、時として重要になることも多いからだ。

一方で、こういったある種突き抜けた人というのは、今の時代では、そもそも就活自体を敬遠する。
自分のチカラをある程度は自覚しているし、就活自体に興味がなく、自分で起業していくことに重きを置いている。
本当に突き抜けているような人材は、なかなか網には引っかかってこないだろう。

しかし同時に企業はこう考える。
「そんな人でも、さまざまな事情を抱え、就活をしている人もいなくはないはず。そういった人を採用できればいいのだ。」
そこで、「今の会社にはいない突き抜けている人材が欲しい」と採用活動を躍起になって取り組む。
そしてそういう人を採用できたとしよう。

【突き抜けた人が辞めていくあるパターン】

問題はここから発生する。
「北極にいてもバナナを見つけてくるような人」を採用したのに、
「北極にいてもバナナを見つけるどころか辞めてしまった」ということになるのだ。
これにはある種のパターンがある。

どういうことか?
突き抜けているチカラを持つ人は、自分のチカラをある程度知っているし、やりたいことも明確だ。
辞めていくのは、単純な理由の場合が多い。
「自分のチカラを発揮できる環境がない。」というこの一言だ。
もともと就活しない人材は、最初から企業が持つ環境に期待していないから就活をしないのだ。

【何が必要なのか?】

企業が求める人材像を明確にすることはいいことだし、必要だ。
その人材にこだわり求め続けていくことも企業を発展させることになる。

そして同時に「その人材がチカラを発揮できる環境が我が社にあるのか?」と問い続けることも必要だろう。
給与や福利厚生面といった、物理的な要因だけが環境ではない。
社内のコミュニケーションをよくしていけば良いということでもない。
これらは単に環境の1要素にすぎない。

【実は身近にいる「突き抜けた人達」】

面白く思うのは、この環境づくりは、何も新卒者に効果が出るということではないということ。
一人ひとりのチカラを発揮できる環境づくりにこだわり続けた企業には、
それまで埋もれていた既存の社員の能力が格段に上がっていくのを私は何度も見てきた。

人材像とその人材のチカラが発揮できる環境を再度見直してみる良い機会だと思う。



2018年4月11日水曜日

48歳女性管理職、リーダーシップを発揮する。

6ヶ月間のリーダーシップトレーニングに参加した48歳女性管理職。そのストーリー。

【総務一筋48歳、女性管理職】

ずっと総務畑一筋でやってきた女性管理職が6ヶ月間にわたるリーダーシップトレーニングに参加した。今回のテーマは「チャレンジ」
自分で決めた目標をなんとしてもやり切るところに意義を置いた内容。
いわゆる「コミットメント」を問われることになった。
彼女は会社の外に出たことがない。
外部との接触はせいぜいが決まった取引業者とのやり取りだけ。
しかも自分でイチから交渉して取引を開始したことはない。
しかし社内では、何かと頼りにされ、社長の言葉を借りれば「彼女がいなくなると内部は回らなくなる」と言わしめるほどだ。いわゆる事務方。裏方の存在。
総務はその仕事の性質上、会社を守り、外部折衝中心の事業部のチカラを押し上げていく存在であることはいうまでもない。得てして総務のチカラが弱い会社は営業成績も芳しくない。と私は見ている。

【リーダーシップを求められる立場】

彼女は、子供も手が離れ、昇格し、部下を持ち、リーダーシップを発揮しなければならない立場になった。しかしそういう立場にたったから、「はい、今日からリーダーとしてチカラを発揮しなさい」と言われても、なかなかできるものではない。
リーダーの最初の入り口は、いきなり部下育成をすることではない。それは役割であり、責任であるのだが、何よりも先に自身がリーダーとして与えられている権限のなかで「何をなすか?」を自分に問い、「決める」ことが求められるのだ。
彼女は、自分で何が必要かを考え、その解決や実現、達成に向けて手を打っていく意思決定を求められる立場になったということだった。
なんでもかんでも上長にお伺いしていく立場ではないということは頭ではわかっていても、ついお伺いしている自分に気づく毎日が続いていた。

【難題にたじろぐ】

かくして彼女はリーダーシップトレーニングに参加することになった。
共に受講するのは息子、娘に近い年齢。しかも彼らは全員営業部に所属。裏方的な存在は自分だけ。立場的に見ても自分だけが課長。他の若いメンバーはまだ「長」のつく立場になっていない。
戸惑いがなかったわけがない。トレーニング開始当初は照れ隠しの発言が目立つことしきり。しかし時間が経つにつれ、やはり切り盛りするチカラが発揮されていき。若いメンバーを押し上げるようになった。
私が出した難題にそれぞれが取り組むことになった時、これには彼女も含めて全員がだじろいだ。
「どうしよう・・・」という心情が部屋中にうずまき、空気をどんよりさせた。しかし最初に手を上げたのが、彼女だった。これにつられて若い人もおずおずと手を上げていった。
メンバーのなかでも、それぞれが自分で掲げた目標に向けて、彼女が最初に動き出し、オロオロしていた若いメンバーの尻に火を点けた。こうなればもう存在そのものが「叱咤激励」になる。
そこから毎月一日のトレーニングとはいえ、6ヶ月間。
日常業務をこなしながらも、常に「リーダーとは?」という問いが頭の中にあったという。

【チャレンジに年齢は関係ない】

6ヶ月後、長い期間のなかでそれぞれが得たことを発表する報告会が開催された。彼女にとっては、社内への報告会であっても、大勢の前で自分の成果を発表するということも初めての体験だった。
彼女が発表したテーマは「48歳のチャレンジ」だった。
難題を与えられた時から何度も挫けそうになりながらもクリアするまでの間の自身の心がどんなふうに変化し、どのような気づきを得て、何を学んだのかの発表だった。
最後の結論は晴れ晴れしい顔でその場にいる全員に言った。
「チャレンジに年齢は関係ない」
どこにでも書かれている言葉であり、よく聞く言葉だ。
しかし実際にチャレンジし、突破し、やりきった者だけが伝わる言葉として伝えられる言葉だ。だからこそ聞いていた人は感動し、その人をリーダーとして見る。

【リーダーシップに思うこと】

書物に描かれているような完璧なリーダーという人を、私は直接見たことはない。多分どこにもいないだろう。
だけどこれだけは絶対に言える。
リスクを恐れながらもチャレンジし、やりきった者の言葉に人はリーダーシップを感じるということだ。それが説得力の源泉だということ。役職で立場がリーダーであっても、この源泉がものをいうことになるのだ。
後日、彼女にこの文章を見せた。
「褒めすぎです。もっとオロオロしてました。」と笑っていた。
オロオロしていた部分のほとんどは私にはわからない。それは本人だけが知っていることなんだろう。
それは他のメンバーも同じで、そのなかでリーダーシップに求められる何かをつかんだのだろうと思う。

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