48歳女性管理職、リーダーシップを発揮する。

6ヶ月間のリーダーシップトレーニングに参加した48歳女性管理職。そのストーリー。

【総務一筋48歳、女性管理職】

ずっと総務畑一筋でやってきた女性管理職が6ヶ月間にわたるリーダーシップトレーニングに参加した。今回のテーマは「チャレンジ」
自分で決めた目標をなんとしてもやり切るところに意義を置いた内容。
いわゆる「コミットメント」を問われることになった。
彼女は会社の外に出たことがない。
外部との接触はせいぜいが決まった取引業者とのやり取りだけ。
しかも自分でイチから交渉して取引を開始したことはない。
しかし社内では、何かと頼りにされ、社長の言葉を借りれば「彼女がいなくなると内部は回らなくなる」と言わしめるほどだ。いわゆる事務方。裏方の存在。
総務はその仕事の性質上、会社を守り、外部折衝中心の事業部のチカラを押し上げていく存在であることはいうまでもない。得てして総務のチカラが弱い会社は営業成績も芳しくない。と私は見ている。

【リーダーシップを求められる立場】

彼女は、子供も手が離れ、昇格し、部下を持ち、リーダーシップを発揮しなければならない立場になった。しかしそういう立場にたったから、「はい、今日からリーダーとしてチカラを発揮しなさい」と言われても、なかなかできるものではない。
リーダーの最初の入り口は、いきなり部下育成をすることではない。それは役割であり、責任であるのだが、何よりも先に自身がリーダーとして与えられている権限のなかで「何をなすか?」を自分に問い、「決める」ことが求められるのだ。
彼女は、自分で何が必要かを考え、その解決や実現、達成に向けて手を打っていく意思決定を求められる立場になったということだった。
なんでもかんでも上長にお伺いしていく立場ではないということは頭ではわかっていても、ついお伺いしている自分に気づく毎日が続いていた。

【難題にたじろぐ】

かくして彼女はリーダーシップトレーニングに参加することになった。
共に受講するのは息子、娘に近い年齢。しかも彼らは全員営業部に所属。裏方的な存在は自分だけ。立場的に見ても自分だけが課長。他の若いメンバーはまだ「長」のつく立場になっていない。
戸惑いがなかったわけがない。トレーニング開始当初は照れ隠しの発言が目立つことしきり。しかし時間が経つにつれ、やはり切り盛りするチカラが発揮されていき。若いメンバーを押し上げるようになった。
私が出した難題にそれぞれが取り組むことになった時、これには彼女も含めて全員がだじろいだ。
「どうしよう・・・」という心情が部屋中にうずまき、空気をどんよりさせた。しかし最初に手を上げたのが、彼女だった。これにつられて若い人もおずおずと手を上げていった。
メンバーのなかでも、それぞれが自分で掲げた目標に向けて、彼女が最初に動き出し、オロオロしていた若いメンバーの尻に火を点けた。こうなればもう存在そのものが「叱咤激励」になる。
そこから毎月一日のトレーニングとはいえ、6ヶ月間。
日常業務をこなしながらも、常に「リーダーとは?」という問いが頭の中にあったという。

【チャレンジに年齢は関係ない】

6ヶ月後、長い期間のなかでそれぞれが得たことを発表する報告会が開催された。彼女にとっては、社内への報告会であっても、大勢の前で自分の成果を発表するということも初めての体験だった。
彼女が発表したテーマは「48歳のチャレンジ」だった。
難題を与えられた時から何度も挫けそうになりながらもクリアするまでの間の自身の心がどんなふうに変化し、どのような気づきを得て、何を学んだのかの発表だった。
最後の結論は晴れ晴れしい顔でその場にいる全員に言った。
「チャレンジに年齢は関係ない」
どこにでも書かれている言葉であり、よく聞く言葉だ。
しかし実際にチャレンジし、突破し、やりきった者だけが伝わる言葉として伝えられる言葉だ。だからこそ聞いていた人は感動し、その人をリーダーとして見る。

【リーダーシップに思うこと】

書物に描かれているような完璧なリーダーという人を、私は直接見たことはない。多分どこにもいないだろう。
だけどこれだけは絶対に言える。
リスクを恐れながらもチャレンジし、やりきった者の言葉に人はリーダーシップを感じるということだ。それが説得力の源泉だということ。役職で立場がリーダーであっても、この源泉がものをいうことになるのだ。
後日、彼女にこの文章を見せた。
「褒めすぎです。もっとオロオロしてました。」と笑っていた。
オロオロしていた部分のほとんどは私にはわからない。それは本人だけが知っていることなんだろう。
それは他のメンバーも同じで、そのなかでリーダーシップに求められる何かをつかんだのだろうと思う。

このブログの人気の投稿

何からでも学び取る人と学ばない人の違い

現在ツイッターに注力しています

リアルとオンラインコミュニケーションの決定的な違いと対処