インテリジェンス不足への危機感

経営幹部には、インテリジェンスが求められている。
先週、全く違う業種のクライアント社長お二人から、ほぼ同時に、ほぼ同じような相談を受けた。
片や「インテリジェンスある人材を育成したい」
片や「最近、弊社のインテリジェンスのなさを痛感している。」というものだった。
お二人とも、昨今の「想定外のことが起きている」日々のなかで、その影響・変化に対応できずにいる社内の空気に苛立ちを覚えているのが手に取るようにわかった。

インテリジェンスとは何か?

インテリジェンスは「知性」ではあるが、ざっと検索してみると、その要素として多く出てくるのが、以下のもの。知の巨人:田坂広志教授の2015年7月のグロービスでの講演。
 (前文省略)本当にこの社会を良きものに変えたいという志・使命感を持って歩むなら、我々は今から申し上げる7つの知性をしっかり身に付けるべきだと私は考えている。それは、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」、そして「人間力」の7つ。これらはすべて知性だ。(以下省略)https://globis.jp/article/2709 (全文)
上記の引用記事を読むと、田坂教授が情熱を持って話されている様子がよくわかる。

なるほど。その通りだと思う。
敢えていうなら、この講演録から感じる「情熱」も知性のうちだろう。

組織においては、ほんの一握りの人だけがこれらの要素を持つことが必要なものだと思われるかも知れないが、実はそうではない。
およそリーダー的な存在である人は誰でもこれらの知性は必要とされるだろう。

そこでクライアントに今、求められるインテリジェンスは一体なんであるかを考えることにした。

仕事の本質から考えてみる

①顧客をつくり続けること
これはいつも新規客を開拓することに留まらず、顧客の維持と拡大のこと。
マーケティングで市場を発見あるいは創出・誘導し、営業系は既存客のリピート促進し、新規客の獲得をすること。

②変革をし続けること
これは業務プロセスを形骸化させず、常に変化させ、更にはイノベーションを起こしていくこと。昔のやり方は通じないとはいうものの、その一部を変更することで、変化に対応できる可能性は高くなる。改善と変革はちがうというものの、変化に対応していくことで事業継続性は高まる。

この2つを実現するには、どうなりたいか、何を成し遂げたいかのビジョンや何のためにやるのかという志(理念)、それを実現するための戦略、戦術、技術、これらを紡ぐ人間力。やはりどれも不可欠だと思える。

じっくり取り組める環境や体力がある企業が本気で取り組めば、これらの要素は高まるだろう。
そして多くの中小企業には、そんな余裕はほぼほぼないのが実情。
その上、目まぐるしい変化の連鎖状態は悩ましい。
変化が激しく、素早く対応しなければ、「ボーッとしてるんじゃねぇよ」とチコちゃんに叱られる。

やはり情報や知識はインテリジェンスの源泉となるだろう。
田坂教授の言う「思想」も自身の世界観・価値観から来る経験と知識、他者の知見を繋いで言語化していかなければ、生まれることはないだろう。あるいは、知識として知らなければ、応用もできないことになる。
inteligence

求められているインテリジェンス

勉強ができることに越したことはない。
言葉の意味がわかなければ情報ひとつひとつの重要性もわからないし、見逃してしまう。
そしてその情報には、さまざまな分野の情報が含まれている。無視はできない。

「仕事の本質」から考えるに、これらの情報をスピーディに自分たちのビジネスに取り入れ、自ら変化させられるかどうかの知性は必要だろう。
もっというと、取り入れて紡いでいき新たなものや新たな取組を創り出せるかどうかという知性も必要になる。しかもスピーディに。

整理すると、以下の5つになる
この5つがインテリジェンスとして定義できるかどうか?
私にとっては、そのこと自体は今はどうでもよい。
ただ少なくともクライアントには、この5つを求められているのだと思える。

①状況判断力
今、何が起きているのか?このまま行けばどうなるものか?この状況を打破していくには、何を起こす必要があるかの判断ができること。これには数字データの遷移から、その数字が持つ意味を解釈するチカラも含まれる。これはビジネスそのものについてもそうだし、人間関係においても周囲の変化を把握すること求められる。

②柔軟性
さまざまな外部環境の変化に対し、自らをどのように対応させていくか?時には「こだわり」が邪魔をすることがある。このこだわりを自社や自身のなかでどう折り合いをつけていけるかだろう。こちらも人間関係においても必要な要素。

③スピード性
状況判断も、柔軟性もスピーディでなければ、周回遅れになる。つねに競争にさらされている市場において、周回遅れはやがて致命傷となる。そうなる前にスピーディに対応していくことで、退場を命ぜられることはなくなっていくだろう。

④創造性
先程書いた「情報を取り入れ、紡いで、新たなものや新たな取組を創り出していく」というのは、既存の知識や技術を組み合わせ、新たなエッセンスを見つけることができれば可能となる。そしてこれは直感的に生まれる妄想レベルのものでしかない。これを具体的なものにしていくというのも、知っていることの範囲から生まれてくる。知らないことから生まれることは、それこそ「降りてきた」ということになる。「降りてくる」現象は否定しないが、極めて稀有だ。

⑤興味・関心
状況判断できるだけの十分な情報があるとしよう。そして興味がなければ、その情報は見逃してしまうし、埋もれていく。他人の知識、既存の技術も取り入れられることはない。
さすがに自身や自社が携わるビジネスに直接関係あることに興味がない人はいないだろう。ここでいう興味の範囲は、遠くで起きている情勢、一見関係なさそうな情報に対して敏感かどうかということだし、何気ない日常の中にヒントは落ちている多々あるだろう。

自ら取りにいく姿勢を持つこと

興味・関心がなければ、情報は素通りしていく。狭い範囲での判断しかできなくなる。
それこそ、KKD(経験・勘・度胸)での判断のみになる。
これでは創造性もなにもないだろう。適切なマネジメントも不可能となる。
オペレーションすることだけになる。そしてオペレーションもどんどん形骸化する。
こうならないためにも、興味のあるものは、情報や知識という源泉へ、自ら取りに行くことが基本姿勢となる。そして興味・関心の幅を少しづつでも広めていけばいいだろう。

社内には他者の知識・技術、古参社員には専門性の高い知見もある。
テレビやインターネットな情報ソースは、たくさんある。
見渡せば、そこら中に源泉はあるのだ。

自身のインテリジェンスを開花させていくには、誰かが教えてくれるまで、クチを空けて待っているのか、自ら取りに行くのかの違いだけなのかも知れない。

とここまで書いて、いくつか自分に刺さってしまった・・・(苦笑)

#VisionDriven




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