太く、行く - -Vadis,Get Bold

 昨年の2月末に今年の人材・組織開発に関するテーマを掲げた。
しかし、そのすぐ直後の4月。コロナ禍における初めての緊急事態宣言が発出され、そのテーマより、後に考えていたテーマを前倒しにせざるを得なかった。

さて、2021年度の人材・組織開発のテーマはどうするか?
クライアント各社の方針各々から、導き出すものには、全クライアントに共通するものもあれば、共通しないものもある。
とはいうものの、共通しないものは、ほんのわずかだ。

基本的には経営戦略はどこも、今年に限っては事業や組織のレジリエンスであり、リカバリーで共通している。社会全体がそっちに動きはじめているのは間違いない。
単にコロナ以前の業績ややり方に戻すことを目指すだけで済むなら、そんなに楽なものはないだろうし、それでいいなら、今まで新たなことはやらなくても良かったのだとも言える。
何にしても、コロナ以前の業績ややり方に戻ることはできないだろうから、「できない理由」を並び立てていれば、それでOKな年になるかもしれない危険性を今年は孕んでいる
これは肝に銘じておきたいところだ。

今年限定のレジリエンスやリカバリー

社会的にも、レジリエンスやリカバリーが来年以降も続くようだと相当きつい。
レジリエンスにもリカバリーにも、それぞれデジタルによる業務改革と働き方改革がもれなくついてくるのは最早、経営者やマネジメント層であれば、誰もが理解している。
理解していないのは、理解しようとしていないだけのことだろうし、理解できないふりをしているにすぎないと捉えている。

コロナ対策としてのワクチン摂取体制づくりも行政ごとに任されている。事例好きな行政であればどこかのパターンをそのまま導入する。これにはアジャストすることも含めると余計に時間がかかる。結果、受付手続きの煩雑さが予想される。健常者が摂取できるのは、早くて7月~9月前後と見ておいた方が良いだろう。

その頃は、夏場なので、新型コロナも多少はおとなしくなると思われる。
問題はこの頃に本当にオリンピックが開催されるか否かだ。
開催されるとなると経済効果は、当初の計画ほどは望めないものの、こればかりは、政府がどのような判断をするか、各国が選手団を送ってくるかどうかで、大きく変わる。
そんなこんなを昨年末から考えながらも、2021年度をどう進めていくかを考えていた。
すると、頭の中は次のように考えるようになっていた。
「実は2020年というのはなかったんじゃないか?」

2019➽COVID19➽2021

つまり失われた2020年をレジリエンスしながら、2021年を乗り切るということだ。
であれば、もう一度2020年度のものを見直し、焼き直した方がいいと判断した。
以下、2020年度の人材・組織開発テーマ「Fortis et Vadis」を焼き直し、2021年度バージョンにしたものだ。

Vadis , Get Bold

ラテン語と英語のミックス。
以下に示すテーマ要素の頭文字を並べると「VADIS=行く」となる。
またGet Boldは単純に訳せば「太くする」もっというと、稼ぐ・儲けるということであり、ちまちまいかず、太く稼げる人材開発をやりますよということだ。
Get Boldは結果であり、太くしようとする意図なので、このための課題と解決方法を各プロジェクトでは考えていくことになる。

さて、そこでVadisである。これは昨年と同じ。その内容は昨年のものと見比べてもらえば、多少、変化していることがわかるだろう。
その違いは考え方によるものだが、やはり、新型コロナによるものが大きい。

●理念とビジョンを改めて確認する(Vision)

まず理念は変わらない。変えない。変えるものでもない。いやコロナごときで変えるものでもないと考える。これはパーパスドリブンといってもいい。
そして自分達が目指すビジョンはいったいどこにあるのか、大きな目標として再定義するか、あるいは意味を問い直すことが必要だ。
なぜなら、ワクチンが導入され全国に行き渡ると、副反応が少なければ元に戻ると考えられるからだ。

ただ元に戻るといっても、人や社会の営みが戻るというだけであって、その在り方ややり方は変化をしていく。いや変化はすでにはじまっており、これが加速し始めることになる。
そうやって新たな道ができていく。そしてどこかのタイミングでようやく、この新たな道が「ニューノーマル」と定義されるというプロセスを踏むことになる。
そうなのだ。巷で言われている現在のニューノーマルはまだ過渡期であるということだ。

●情勢把握(Antena)
世界で何が起きているか?それらが自社事業にどのような影響を及ぼすか?2019年までは遠い世界の話でイメージできなかった人は多かったが、2021年に入った今、世界の状況がいかに直結するかのイメージは持ちやすくなっているはずだ。

何が起きているのかをアンテナを張り、これが日本に、自社にどのような影響を及ぼすのかをイメージする。
情報やデータを分析し、知見を持った人と議論することで新たな発見・発想も生まれる。
全く違う分野の人と話すことも刺激になる。
今はオンラインで友達になり、オンラインで対話することも、なんなくできてしまう時代だ。ZOOMやClubHouseといったツールやプラットフォームを使わない手はないだろう。

また新技術やマネジメント手法も自ら学ぶようにする。
もう在宅勤務は当たり前になるだろう。そうするとオンラインとリアルのマネジメントが求められる。これひとつとっても、新たなことを学ぶ必要があるのだ。そうして、自社のハイブリッドマネジメントを確立していくことをお勧めする。
レガシーなものでも通用するもの・しないものを見極める。
※ハイブリッドマネジメントについてはこちら。

●対話と多様性(Dialogue、Dybercity)

数年前から多様性が求められている。
特に近年は性差や価値観が合わないことを理由に避けることは、もうできない。
危機があった翌年は、女性の活躍に大きいものがあったことは歴史が教えてくれている。
そもそも対話のない所には壁と断絶しか生まれない。
対話のためにも、縦割りだけに留まらず組織横断型のプロジェクトやクロスマネジメントを発展させていくことも必要だろう。

●自身が磨く知性(Inteligence)

①変化する状況から舵をとる方向を判断すること
今、何が起きているのか?状況を打破していくには、何を起こす必要があるかの判断ができること。人間関係においても周囲の変化を把握し、対処する。無用なトラブルを未然に防ぐことにつながる。

②こだわりよりも「理(ことわり)」から柔軟に動く
外部環境の変化に対し、適時対応していく。2021年度は昨年度以上に計画通りにできない可能性はある。最終的なゴールだけをにらみ、都度・適時に対応する。
最初に考えていたことだから、それをやりきる。これも立派な考え方だし、そうすることで物事は達成・成就する。しかし今はそういう安定した状況ではない。社会全体が不安定な時は、計画の精度を上げる方法はたった一つしかないオプションを用意しておき適時対応でスピーディにやることだ。ただ適時対応していればよいということではない。のんびりやっていては意味がないということだ。大事なことは先手先手で適時手を打っていくことだ。最悪のケースを想定して、その場合のオプションを用意しておくことも含まれる。
その最大の基準となるのは、理念であることは間違いない。

③何かと創造的にアプローチする
既存の知識や技術を組み合わせ、新たなエッセンスを見つけることができれば可能となる。
これは従来の創造的アプローチの最たるものだ。
それよりも、そのアプローチを直感的に生まれる妄想に適応させるように考えよう。
その方が早いし、その方が楽しいし、その方が「具体的」にしやすいし、その方がよほどイノベーティブなことが生まれる可能性が高い。
「こういうものがあったらいいのにな」ここからスタートしていけば良い。
妄想を具体化する方法はセッションでお伝えしていく。
その気さえあれば、たいていのことは実現可能だ。

●スピーディに行動(Speedy Action)していく

VUCAな時代だからこそ、スピーディに動くことは当たり前だ。
そのためにも頭の切り替えをスピーディにやることだ。
そのためには、進め方のオプションを持っておくことだ。
オプションの考え方はいつも言っているトム・ディック・ハリーだ。
※トム・ディック・ハリーについてはこちらを参照。

感染速度が速いのは、人がつくってきた文明が発展してきたことと比例する。
これに対して日本政府の判断が遅いのかどうか、その内容が良いのかどうかの判断をする共通の基準は、誰も持ち合わせていない。
あるのはそれぞれの「べき論」でしかないとわきまえよう。
 
批判することは誰もができるが、だからといって、真っ向からその判断に背く行動をするものではないし、多くの人はそんなことはしないだろう。
政府の味方をするつもりはないが、昨年、政府からあったのは、基本「依頼・お願い」だった。こ2021年は可能な限り、方針に対応しつつ、昨年の記事にも書いたが、これから出てくるかも知れない「指示命令」に注意を払っていくことも必要だろう。

だからこそ、何度もいうが、事業活動に関するオプションは複数用意しておく必要があるのだ。何もできない状態になった時に、つまり現在の飲食業に課せられた状況のようになった時に、すぐに手を打てるオプションを用意しておかねばならないということだ。日本の法律下における緊急事態宣言や措置というものによって、事業の体力がジワジワと奪われていくことは火を見るよりも明らかだ。

●防波堤が決壊していることに、企業は何ができるか?

昨年の記事では、以下を書いた。
感染拡大に対して、いくつかの病院は「最後の防波堤」という自覚はあると聞く。ならば企業は、「従業員、顧客、事業を守る」という意味で「灯台」であってほしい。
企業として、「従業員を守り、顧客を守り、更に事業を守る」
そうすることで、社員や顧客の不安は軽減できるだろう。
企業として、拡大路線に走れない現状では、積極的に「守り切ること」に専念することも必要だ。
特に損益とキャッシュ・フローはしっかりお願いしたい。

それでこれに対して2021年度は、「決壊している防波堤に企業は何をできるのか?」を考えていただきたい。
今、病院が困っていて、自分達ができることは何か?
ちょっと考えるだけで、いろいろと出てくる。
SDGs・・・誰一人取り残さないという考え方も加味すれば、アイデアも生まれるだろう。
SDGsに手を挙げているクライアントとはアイデアを早く確実に実現していこうと思う。

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