高い評価を得ている人は、何が優れているのか?

優れていることは何か。
こういった質問ひとつで回答はいろいろと出てくるだろう。

・コミュニケーションによる意思疎通の確実性が高い
・段取り・計画性が高い
・マルチタスクで仕事ができる
・常に仮説を持っている
・情報収集を怠らない・・・などなど。
全部出していけば、非の打ち所がない、あり得ないスーパーマン養成チェックリストができあがる。

このような具体的なチェックリストは世の中に山のようにある。
しかしいきなりチェックから入ってしまうと、自分のスキルや能力の低さを感じてしまうので、あまり惑わされないようにしてもらいたい。

➽➽「自分に足りないものは何か?」

具体的なチェックリストは、なるほど、自分が今後身につけていけば良いものを示してくれているが、その一つ一つには自分自身の目的までは示されているわけではない。

田中さんの「足りないものはA」と鈴木さんの「足りないものはA」
同じものを選んだとしても、そのスキルを習得する目的には違いがある。
しかし、これを意識せずに、具体的なチェックリストから入ってしまうと、スキルマニアになっていくだけだ。
いつまで経っても身につかないスキルを「これではない」と繰り返し探し続けることになる。
結局、時間を無駄に過ごしてしまうこととなる。

➽足りないものは何もないが、違いはある

仕事で高い評価を得ている人は、この時間の使い方が優れている。
ここに違いがある。
田中さんと鈴木さんに足りないものは何もない。
違いがあるだけだ。「差」といってもいい。

では、高い評価を得ている人は、何が優れているのか?
結論からいってしまえば、以下の2つでしかない。

「時間」と「質」の捉え方に「違い」がある。

➽とにかく仕事が早く・速いのだ。

仕事に対する時間と質の捉え方に関して、いろいろな立場・役職の人に聞いてみると、ほぼ全員同じことを言う。

「アウトプットを出してくるのが、はやいんだよね。」

敢えて「はやい」と書いたのは、漢字に意味があるからだ。

「仕事が早い」という意味では、これから自分が着手することの目的や目標、基準がどのようなものかの理解が早い。要するに「話が早い」ということだ。
「仕事が速い」という意味では、着手から終了までの時間が他の人に比べて時間的に短い。つまりスピードが速い。

まとめると、

「理解も着手も早く、その進捗は自分ができる最速の段取りを組み、これを実行する」といったところだろう。
着手も早いことも含めて常に最速を考えているということだ。



しかし、それだけではない。もうひとつ大きな違いがある。
それは、アウトプットの「質」に違いがあるということだ。

➽➽はやさに加えて質が高い

評価を高く得ている人は、アウトプットの質が、たいてい高い。
提出書類、企画書の下書きであっても、その時点で、質の高さを漂わせていることが多い。

アウトプットというと、自分の考えやアイデアなど、提案や企画といった類の仕事を想像する人もいるだろう。
しかし、どんな仕事にしてもアウトプットというものはある。

例えば、「営業では売上や利益というものがあるので、それを達成するか否かということもあるんじゃないですか?」と聞こえてきそうだ。

敢えてそれだけではないと断言しておく。
営業で高い評価を得ている人は、売上や利益といった目標を早く達成するし、未達成で終わることは稀だ。
反対に営業で評価を得られない人は、売上や利益といった目標を達成することはあるが、未達成に終わることは多い。目標の下方修正まですることもあるし、その下方修正タイミングも遅い。

結局、業績という「アウトプットの質に差がある」ということだ。
その要因は、やはり「時間」の使い方で大きく変わる。

➽時間の使い方で違いが生まれる

繰り返しになるが、まず仕事が発生した時点で差が生じる。
評価の高い人は、すぐに仕事に着手する。スタートダッシュが速い。
評価の低い人は、いつまでも、グズグズしている。

「いやいや、仕事量が多いから、どうしても時間が足りない状態になってしまうからです。遅くしたいわけではありません。」と聞こえてきそうだ。

そりゃそうだろう。
誰だって、グズグズ仕事をして、締め切りギリギリで進めたいわけではない。
だけどそうなってしまうのは何故か?
結局、すぐに仕事に着手しているかどうかの違いだろう。

「なるほど・・・では、どうすれば、すぐに着手できるようになるのでしょうか?以前時間管理の研修で緊急度と重要度で分けるという話を聞いてやってみたんですが、うまくできなかったのですが・・・。」

緊急度と重要度で仕事を整理して、優先順位をつける。
これはこれで、誰もが知る考え方だ。ただ落とし穴というか勘違いしやすいものでもある。

タスクを整理をして、優先順位つけるためのマトリクスとして、捉えている人は多い。
このツールを使えば、優先順位を決めるのが簡単になる・・・という勘違いをする人も一定数いるようだ。

実はそういうものではない。
緊急度と重要度マトリクスは、単なるツールである。
整理して優先順位をつけるために、この2軸を考えついた人は、必要があったのだ。おそらく切羽詰まったものがあったのだろう。あるいはそういった人を助けるために、編み出されたものなのだろう。

だけど、ここが肝心なのだが、材木を切るためのノコギリというツールがあり、引く時に力を入れることを知っていても、力の加減は自分が経験して覚えていくしかないのと同じで、このマトリクスを使って「加減」を覚えていくことは必要だ。
この加減が身につくまで使っていけるかどうかで差が生まれている。
ましてや、「覚えよう」という気持ちがなければ、どうにもならない。

話はそれるかもしれないが、ツールというものは全てそうだろう。
仕事に対する姿勢が肯定的で、なんとかしたいという気持ちがあること。
仕事に対するやる気があるかないか。
あるいは、自分から率先して仕事を創り出していく意識のあることが前提になっている。
こういった意識がない人がいくら優れたツールを持っても、うまく活用できずに諦めてしまう。

同じ仕事量であっても、高い評価を得る人は、仕事がはやいし、質が高い。
それは、時間をうまく使う気があるかないかの違いでしかないし、そもそも仕事に対する姿勢が違うということだ。

仕事が遅い人は自問自答してみると良い。

「時間に追われているのか?それとも時間を上手く使っているのか?」

もし追われている感覚があるのなら、自分自身の仕事に対する姿勢がどのようなものなのかを見ると良い。

その上で、時間をうまく使いたいという気持ちがあるのなら、緊急度と重要度で整理していくとしっかりと優先順位はつけられるだろう。

➽アウトプットの質を高めるにどうするか?

仕事の質を高めていく方法については、方法はいくつも存在する。
ひとつのやり方を、以前、「急ぎの仕事は忙しい奴に頼めは本当か?」で書いているので、そちらを参照願いたい。

ただ、自分にとっての目的を明確にしておく。
これだけは絶対に全ての方法に共通するものだ。


---以下2022.02.06追記--------------------------------------------------------

上記は約12年前の投稿記事です。
これまでの投稿記事で、アウトプットの質を高めるためのものに触れているものは以下の通りです。

仕事は楽しいかね?(2007.07.15)
書くこと・書きとめること(2010.09.18)
ワクワクする人としない人は何が違うのか?(2011.09.19)
目的は何かと聞く人(2013.09.12)
自分の仕事をワクワクに変換する方法4つ(2014.09.10)
何からでも学び取る人と学ばない人の違い(2016.03.30)
検索で問題の回避はできるが、最後は自分達の知恵(2021.09.20)

そして今後、時間の使い方そのものの考え方は大きく変わると想像がつきます。
その中心にあるのが、DXであることは間違いないでしょう。
DXについても、導入する目的を明確にする必要はあるでしょう。
そして、小さいところから始めようという考え方が大切です。

ですが、実際のところは小さいところで試して、モデル化し、一気に水平展開しようといった、平成時代の生産性向上的な考え方に置き換えてしまっているところもチラホラ。その考え方がそもそもDXにそぐわないということも知っておいた方がいいでしょう。



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