優れたチームにあるもの


東京2020パラリンピックが終了して一週間が経った。今回の大会テーマの中にも「多様性」というものがあった。現在のオリパラがいずれは多様性のもとに統一される日がくるのかもしれない。それもひとつの多様性を認めるということにつながるとは思うが、それは遠い未来のことなのかもしれないと思いながら、数ある競技の中でも、もっとも印象深かったのは、車いすバスケットボール。その激しい攻防を見ながら、2013年のギネスビールのCMに「チームとは何か」を感じた投稿をしていたことを思い出した。以下、加筆修正を加えて再構成した。




優れたチームにあるもの

社内の課題解決に向けた組織横断的なチーム活動を多く見受けられるようになった。今後は、組織横断型のプロジェクトチームが発展し、事業部同士のクロスマネジメントが主流になることもあり得るだろう。
最近は社員の自発的に生まれたチームも見受けられ、社内の課題解決に向けて活動ができるといった環境が生まれてきているところもあるから、尚更だろうと実感している。

結果を出すチームの共通点

どんなチームであれ、望む結果を出すチームには共通点がある。
それを端的に表わしている動画を見つけた。
ギネスビールの2013年のCM。

Guinness beer wheelchairs basketball commercial



CMの途中のナレーションは以下の通り。 

Dedication(献身)Loyality(忠誠)Friendship(友情)
The choices we make reveal the true nature of our character.
(何を選択するか。私達の本質が明らかになる)

献身・忠誠・友情はチーミングに大切な要素であることは間違いない。
友情といっても相手を思いやるという意味に留まらず、互いの切磋琢磨といったものも含まれるだろう。
CMではそれもこれも「何を選択するか」次第ということを言っている。
ここが最も重要なメッセージだ。
チームづくりをしましょうといっても、ひとり一人の選択次第で良くも悪くもなるということを表している。
選択しても、行動が一致していなければ何にもならないということだ。
また「何を選択するか」に多様性へのメッセージも込められていると思える。

ひとり一人が自己成長・自己開発に努力し、かつチームメンバーへの協力を惜しまない。そしてどんな状態をも受け入れる多様性。共に進んでいこうとする多様性とLet'sの精神。
いずれにしても自分に対する選択なしに、メンバーに求めているだけでは、チームのカタチをしているだけで、機能しないことだ。
そういうことを表しているCMだ。

議論なき組織、チームの行末

多くの人は居心地の良い場所=仲間を持っている。
同じ価値観で同じような考え方を持ち、わかりあえる仲間はありがたいものだ。
ただそこにはある種の「偏り」も生まれる。
そしてその偏りに気づかぬまま、「合わない」という理由で、排除することもある。そこには多様性というものはない。
やっかいなことに、その自分の偏りには、なかなか気づけず、他者から指摘されても自身の正しさにこだわって、自身を固持することにもつながる。

その偏りは自分の選択なのか?
またその選択は様々な選択肢のなかから選んだものなのか?
あるいは自分を省みることなしに流されているだけなのか?
狭い世界での「自分らしさ」と勘違いしてはいないか?
広い世界を見たつもりで、単に自分が今いる場所と比較して「違い」を見ただけなのに、新たなものを選択した気持ちになっていないか?
そのためにも、いろんな人、いろんな集団・チームと言葉を交わし、議論していくことも忘れないようにしたいものだ。
そこに「真摯さ」がなければ意味はないのはもちろんのことだろう。

議論なき組織・集団から生まれたチームはビジョンに向かうことはない。
これだけは経験からはっきりと申し上げる。
ビジョンに向かっているような気になっているだけだと言ってもいいだろう。
そうした自覚があってこそ、チームの成長サイクルGRIPが機能していくものだろう。

単に学んだサイクルを回すことなら、手順通り進めれば良い。
必要なことは、「問い」を自らもつことだ。
「問い」がなければ、選択肢は生まれないのだから。

何を選択するかを問われる時代

SDGsというコンセプトが世界中で交わされ、「多様性」という言葉が象徴するように、これらが今後の企業活動の前提となっていくことは間違いなく、むしろそれを無視するような企業哲学、戦略、施策は尊敬されることはなく、敬遠される世の中に向かっている。もちろんそこには冷静さを欠いた同調圧力的なものも発生してくることも否めない。

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上記記事は2013年10月に書いたものです。
当時、台湾との行き来を頻繁にしており、機内のモニターでこのCMを知りました。現在はギネス社のCMライブラリーにはアーカイブされておりませんが、それでも愛好家はいて、そういった人がライブラリを作成してくれていました。
 
この頃は、「多様性」「ダイバーシティ」という言葉が一部の企業で使われ始めた時期です。オリパラという大きなイベントでその姿勢を示すことは大事ですが、それを過ぎてしまえば、その意味していたことがなんであったのか?それを忘れてしまいがちになることを気をつけたいものです。









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