2021年5月30日日曜日

感染症と経営-戦前日本企業は「死の影」といかに向き合ったか

 「感染症と経営-戦前日本企業は「死の影」といかに向き合ったか/清水剛」を読了。
「きっと吉尾さんの欲求を満たすと思います」と友人の教授からお勧めしてもらったもの。
とはいうものの、読む目的がはっきりとないまま、ゴールデンウィーク前に購入し、積読山に置いていた。
Keeping Good Balance







著者は東京大学大学院総合文化研究科教授。
帯のキャッチコピー:~戦前日本の記憶がコロナ後「生きる」ヒントになる~ とある。
https://amzn.to/3uF73kc 



なんとなく気になるので、自分が何を気にしているのかを明らかにするために自問自答。


結局、「戦前の『感染即死型社会』のなかで、企業はどのように機能していたのかを知りたいことと、コロナ後の動向へのヒントを得たい」につながるかもしれないということを目的として読み始めた。







➽➽経営者や役員は読んでおいた方が良い

学術系の書籍で、論旨の展開もその通りで、いわゆるビジネス系の書籍と思って読み始めると「なんじゃこりゃ」ということになるかもしれない。
著者は総合文化研究の教授で、企業システムと経営学と法制度を研究している人なので、実践するためのネタが掲載されているわけではない。そこは勘違いしないようにしたいところだ。
  
「序章」だけ読んだみると、これは帯通りの書籍であることはわかる。
戦前日本では感染症が現代よりもはるかに死に直結していたとするところからスタートする。
スペイン風邪や結核の脅威=「死」がすぐそばにあり、それが小説「細雪」、流行歌「ゴンドラの唄」(「いのち短し恋せよ乙女」の一節が入っている曲)にもそうした現実が刻み込まれていて、それらは黒澤明の「生きる」にもつながるといった感じで、文芸作品なども使って戦前の企業経営を振り返り、アフターコロナの企業経営の在り方を示唆する経営史でもある。
戦後の他の文芸作品や企業スポーツの話しも登場してくるので、しっかり目的を持って読み進めていかないと、頭の中が混乱するだろう。
   
特に第6章では戦前のサラリーマンの話しが多く出てくる。戦後からのサラリーマン像はいわゆる「◯◯マン」と称されるようになることが一人前とされ、その所属する企業との永い関係性を維持していくことが重要とされていたが、現代のサラリーマンが「企業に閉じ込められないためにどう在ればよいのか」という示唆しているところもある。自立・自律という意味でもここは必読の章だろう。
論点となる「問い」が明確で、その問いを明らかにしようとしている点で良書だと思う。
また1920年代に脱個人化をおこなった企業の一事例として主婦之友社を扱っている。

かつての日本は戦後で思考停止に陥ることはなく、ずっと模索は続けてていくチカラ強さはあったのだと思える。この点だけは、現代は、自ら問うことをやめ、「答え」を周囲やネットに求め過ぎだと感じる。

➽➽この書籍を経営者や役員に読んでもらいたい理由

新型コロナの影響で、未だに情勢が安定せず、業績も安定しないなか、自社がどのように安全に事業を進めていくかで多くの企業がもがいている。「続けていれば、いつかもとに戻って、なんとかなる」と考えている経営者はいないと思うが、この「いないだろう」と想像がつく時点で「いるだろう」という前提に立っていることに気づいた。
そういう経営者にとっても、少なくとも以下の観点での考えるヒントになると思われる。
答えではなく、ヒント。

➽ヒントになる観点

・コロナ後の労働者と企業の関係
・コロナ後の労務管理の変化と示唆
・コロナ後の消費者と企業の関係
・コロナ後の株主と企業の関係
・コロナ後の企業像
といった各章ごとに戦前の企業が感染症とどう向き合ってきたか、またコロナ後にどう向き合っていくことになっていくのかが書かれている。

この書籍をビジネス本として見た場合、意味不明な人にとっては意味不明なままになるだろうけど、文学とか音楽というのは、エンタテインメントではあるけれど、文芸も人の営みだ。世相が反映されているから共感を生んで流行るのだから「感染死直結型社会」という観点では、戦前も現代も同じなのかもしれない。

➽➽模索は続くが思考停止だけは避けたい。 

現在の新型コロナの変異株は、マスク着用でも感染、感染経路不明の割合が増加。
「ワクチンが切り札」というのは、否めないとしても、それでも予防でしかない。
感染しないようとする予防である以上、それでも感染した場合どうするのか?

➽ワクチンが切り札だとしても

従来の対策を徹底しても、それを軽く乗り越えてくるんだから、ワクチンが切り札にならなかった場合に要請される動きは目に見えている。  
規模は違えど、表現は違えど、数年間はオープン&クローズの繰り返しになるだろう。
我々にできることは、感染防止対策と経済活動のバランスを取りながらも、片方にウェイトを置くことを繰返し続けていくしかないのだろう。
極端にいえば、Stop&Goの繰返し、近年「良し」とサれてきた経営手法が通じるかといえば、徐々に形骸化していくのかもしれない。
  
制限がかかっている企業(特に飲食関係)には気の毒としかいいようがない現状の対策であるが、人間の経済活動は「人流」の中で生み出されてきたことは否めない。
ここに制限が加わった。企業側だけの問題ではなく、消費者側も変わらなければ、この難局は乗り越えられないものなのだろう。

戦前の感染死直結社会において、企業経営者はどのように判断し、対応していたのか?この一点のみを目的に読むことをお勧めする。
思考停止になった状態に陥ることだけは避けたい。
  
ヒントになる観点として、コロナ後の政治と企業の関係も欲しかったとは思うが、
それについては、次に期待するとして、経営者やそれに準じる方々は、こちらも合わせて読んでおく必要はあるだろうと思う。
少なくとも今の感染対策に「基準を示せ!」「エビデンスを!」ともっともなことを言うことの意味は理解できるだろう。

政府と専門家会議の間にどんな溝があり、その溝の在り様がどのようなものかはわかる。
これらが企業の経済活動にどう影響したのかを重ねてみると、政治と企業の関係もあるていどは想像はつくかもしれない。








2021年4月25日日曜日

銀座品質がコンテンツとなる宅配サービスに感動した

今回は、あるデリバリーを体験し、感動し、何を読み取ったかの話を少々。

先日、「美味しい銀座デリバリー」というサービスを利用した。試しにというつもりで、マンション管理組合で会食するために数日前にオーダーをしていた。

銀座品質というサービス・コンテンツ

➽➽単なる宅配・デリバリー業者ではないと感じた

当日の依頼時間範囲にデリバリーに来てくれたのは、当然と言えば当然だろうが、オートロックのモニターに映し出されたデリバリー担当者の姿に驚いた。

➽丁寧さと気配り

スーツを着ている。いくら夕方だったとはいえ、都内は夏日。暑いだろうなと思いつつ、通話ボタンを押して返答すると、「銀座デリバリーから参りました」と返ってきた。よくある「◯◯◯で~す」と間延びした挨拶ではない。
この時点で、いわゆる他のデリバリーとは違うなと感じたと同時に、「それはわざわざどうもありがとう」という気分になりつつ、ロックを解除。
  
しかし、なかなか部屋まで来ない。
それもそのはずだ。ウチのマンションは、番号順に並んでいない。
メゾネットの部屋が複雑に入り組んでいる。
例えば108の隣が207。その隣が302でその隣が105といった感じで、10年以上住んでいる者でも迷うぐらいだから、初めて来た人が、その規則性を見出すには無理がある。しかも我が家の位置は、入ってすぐの棟から更に奥に入る必要があり、その通路はうっかりすると見落としてしまうという、かなり防犯上の対策が強めに施されている(入口に地図はあるにはあるけど、見落としてしまうぐらい小さい。)
 
全てのデリバリー(ウーバーとか、ネコのおごりとか、店舗ダイレクトとか)で、一発で我が家までたどり着いたものはない。
ヤマト運輸や佐川急便でも、地域担当者が変更になると、最初は必ず迷っている。
なので、普段は、こちらから敷地内の目立つところまで出ていって、ウロウロしている担当者を見つけて、その場で受取ることになる。
 
今回の銀座デリバリーの担当者も、案の定、同じように迷っていたので、こちらから声をかけ、その場で受け取ろうとすると、丁寧な返事が返ってきた。
「よろしければ、玄関までお持ちします。」というのだ。
そんなの駄目ですという話ではなく、「ぜひそうさせてください」という意味だ。つまりは営業担当者発想の言葉使いだ。

➽銀座品質を保つ工夫と確かな運搬技術

受け取った食事は、不織布の風呂敷で包まれた箱に入っていた。ポリ袋ではないところが、SDGs。そしてしっかりと密封されていた。
箱を空けてみると、保冷剤が布製のお手拭きで包まれていた。
今できる最大限を考えたらこうなりました。でもまだ工夫の余地はあると捉えている姿勢は感じられた。

それで食事を開けて見た。一切の崩れが起きてない。さすがだ。
何がさすがか?このサービスは宅配業者が始めたのではなく、運送会社が銀座料飲組合と組んだものだ。
その会社は、首都圏の物流を担う八大株式会社という運送会社。
運ぶことに関してはプロ。安定しているからこその料理の崩れなし。といったところだろう。

➽➽新たなサービスコンテンツになる得る

これは銀座品質そのものがコンテンツになり得ることを示しているとも思えた。 
通常、銀座品質は、銀座に行かねば体験できない。行ってもある程度の金額が必要とはなるが、そこに価値を見出している人が多くいるので、銀座はいつまでもハイブランドの聖地であり続けているわけだ。「高い」という一言で片付けるものではない。
その銀座品質を自宅で享受できるということだ。
まったく違う見方をすれば、在宅勤務でメンタルクライシスになりそうなところを救う一助にも繋がる可能性も秘めている。
  
銀座の料理と首都圏物流のプロの掛算によって生まれたこのサービス=美味しい銀座デリバリー。これによって銀座の新たな価値が創り出されていくのが楽しみになってきた。

「美味しい銀座デリバリー」のホームページはこちら

2021年3月1日月曜日

「伝わらない」から抜け出す5つの鍵

プレゼンテーションについて、聞かれることが多い。
上手にやるにはどうすれば良いかというものだ。
よくよく聞いてみると、レベルは様々で、なおかつ相手は特定の人から不特定多数に至る。
これら全てをどうやれば、うまくできるのか?
全てうまくいく方法はおそらく、ない。
あるのは基本だけだ。あとはテクニックでしかない。

実はプレゼンテーションについて、うまくできない理由には共通点がある。
文字通り「説明するには?」「伝えるには?」「報告するには?」「発表するには?」「提案するには?」「心を動かすには?」「心をつかむには」・・・どれひとつとっても「自分」が主体になっていて、これらの言葉の前に必ず「上手く」「確実に」となんとも欲張りな言葉がつき、いろんな方法を試し、これじゃないこれじゃないと探している。
このような人は永遠に満足できる方法というものは見つからないだろうし、自分のプレゼンが伝わらないとずっと泣き続けることになるだろう。

➽➽「伝わらない」から抜け出す5つの鍵

確かにプレゼンテーションの範囲はどんどん広がっていて、報告レベルのものであっても提案が求められるし、説明だけでは「で?その後は?」と提案を求められる。2010年以降はそういう時代だ。














➽①最低限のアドバイス:どっち向いてる?

プレゼンテーションといっても、コミュニケーションの1つである「伝える」の発展形だ。
なので、コミュニケーションの「伝える」基本を理解しておけば、後は応用なので、そんなにややこしいものでもない。

伝える基本中の基本といえば、「気持の向き」だ。どっちを向いているかの話。
説明するにしても、発表するにしても、提案するにしても、それを相手に届くように、そして受け取れるように投げているかということだ。(コミュニケーションはキャッチボールと聞いたことあるでしょ?)

●伝えることが多く、時間がない場合、早口になる➽気持は自分が全てを言い切ることに一生懸命で相手は不在になってしまう。
●失敗しないように失敗しないようにと声が小さくなる➽気持はこの時間が早く終わって
ほしい気持が増大し、相手は不在になってしまう。
●そもそも人前に出て話すこと自体が苦手なのでいやいややっている➽とりあえず説明しておけばいいと割り切ってしまうと、これも相手が不在になる

プレゼンテーションでも同じで、相手に伝える気持がどこかで消えてしまっているのだ。
まるで満員の通勤電車の網棚にカバンと一緒に預けた気持を置き忘れてきたかのようにだ。
しっかりと相手に、それが複数人であっても、相手に伝えようという気持がなければ、どれだけ練習しても届かない。

例えば、常に立板に水のように話す人はたくさんいる。プレゼンでも、その後の質疑応答でも、適切な言葉を使い、適当なスピードで話す人だ。まるで滞りがなく、理路整然と話してくれる。その時はその話術に惹かれてものすごく納得する。
だけど後から思い出そうにも、「はて?何を話していたんだっけ?」と思いだせないことも多い。メモを見ても、なんでこのメモが残っているのかさえ思い出せないこともある。
この例はプレゼンテーションスキルは素晴らしいけど、やはり相手に届けようという気持が薄いのだろう。いわゆる「悦に入る」というやつだ。

自分のプレゼンテーションを振返り、そのコンテンツに問題がないのであれば、伝え方とその方向を確認し、修正をかければ良いだろう。

➽②表現を確認する

これは相手に投げるボールそのものを見直すことだ。
ボールはボールでもソフトボールが投げられてくると思っている人のところへ、硬球が飛んできたら、まず受け取れない。

業界用語や社内用語がそのまま出てないか?➽これほど定義が頑固で曖昧なものはない。口頭では通じても、プレゼンとなれば別だ。これは必ず通常の言葉に置き換えておく。
専門用語もできるだけ開くようにする。

要するに「むずかしいことをわかりやすく」ということになってしまうが、本当はこれだけではない。それについては後で触れる。

➽③シナリオを作成する

プレゼンシナリオづくりの方法は2つある。
ひとつはプレゼンテータが話すのを得意としている場合だ。
上記の気持の向き、表現に問題がないのであれば、シナリオをつくる。
内容によって、適切なテンプレートに合わせて、シナリオをつくれば良い。
プレゼンスライドは「覚えてもらいたい」ところを虫食いにしておく工夫を凝らすなど、この手の人は、何をやってもできるので、アドバイスするまでもないだろう。
強いていえば、プレゼンテータ自身が、ユーモアさを漂わせていれば完璧だ。
まじめなだけではつまらないと言われて終わるだけだ。
   
さて、もう一つは、プレゼンテータが話すのを苦手としている場合だ。
この場合、話すこと自体はスライドに任せて、補足だけを入れていく。
最初に挨拶をした後、「まず、御覧ください」といって、ある程度、時間を取る。
適当なところで、補足を入れ、スライドをめくっていく。
これのテンポをどこかで一定に保つ。
問題は、最初の「まず、御覧ください」といえる勇気が持てるかどうかだ。

要は聞いている側に「ああ、この人、棒読み、丸読み」と思われてしまったら、相手とコミュニケーションできていないということだ。
だから覚えておきましょうという話になるのだろう。
TEDxのようなレベルを求められない限り、覚えておく必要はないだろう。
覚えておいたことを思い出しながら話すよりも、相手に届ける、相手とコミュニケートすることにチカラを注いだ方がよほどましだ。
もちろん、覚えておくことにこしたことはない。

➽④人とは違う着眼点

端的に表すと、どのようなポジションでモノを見ているか?ということだ。
本来は表現のところに入る要素であるのだが、これだけ情報が飛び交っている時代だ。
同じことを考えている他者はいるかもしれない。いや必ずいる。
そんななかでの独自性。オリジナル性というやつだ。
独自の着眼点を見つけることは、大変だろうが、どこにでもあるものは避けたいところだ。

ビジネスの場合は、従来当たり前と言われていたことを「なんで?」「ほんと?」「それで?」と深堀り・発散していけば、自分でも気付いていなかった着眼点にいきつく場合は多々ある。

例えば、顧客視点で書かれた提案書には、「勢い」がある。
タイトルがこんな感じだ。
よくある表紙のタイトル「オリジナル着眼点の発見トレーニングのご提案」
顧客視点のタイトルは「この手があったか!人とは違う着眼点を発見しよう」
これは実際、私がやったものだ。
中味は変えず、表紙だけ変えて、2つを並べて、どちらかを選んでもらうと、10人中10人が最初に後者を選んだ。
それこそ表紙で勝負をあらかたつけられる場合もある。
使われている言葉もターゲットが使いそうな言葉が散りばめられている。

➽⑤基本的なことを徹底的に練習する

大きな本屋だと、本棚の一段だけでプレゼンテーションのスキル本が数多ある。
書いてあることで大事なことは、どれも同じだ。書き方や順番が違うだけだ。
だけど基本的なことなので、しっかり身につけておくことはお勧めする。
文体や見た目が自分の好みに合うものを買い、読み込み、それに書いてある通り、徹底的に練習すれば良い。この時都合の良い解釈をせず愚直にそのままを練習することだ。
練習して、実践して、反省して、直して、練習して、を繰り返すのみだ。
それだけで、絶対にうまくなる。本当にうまくなる。うまくならないわけがない。
私が指導した人で徹底的にやった人で下手なままな人はいない。これは断言できる。
なぜなら練習以上のチカラを本番で発揮できるわけがないからだ。。
例え即席であっても、しっかり練習すれば、その瞬間は劇的にうまくなる。
後々続けられるかどうかは本人の問題以外のなにものでもないだろう。

そして、続けられたとしよう。実はここにも落とし穴がある。
いわゆる「慣れ」だ。
伝え方や伝える内容に慣れが出てくると、練習もおざなりになる。
慣れが出てきているにも関わらず、それに気づかず、同じことを同じ様に繰り返す。
いわゆるルーチン化だ。省みることがないルーチン。これは致命的だ。
そのうち小さなミスをしてしまう。
すぐにリカバリできるレベルなのでまだ気づかない。
大きなミスにつながるから気をつけたいところだ。

➽➽そのプレゼンテーションに値段はつけられるか?


(2021.03.01追記)
先日、プレゼンテーションのアドバイス依頼があった。
プレゼンそのものが苦手だという人が多く、頑張って届く言葉を探している人もいるという。なんであれ、少しでも上達したいのであれば、以下は絶対だ。

提案にしろ、発表にしろ、言葉や図を使って表現して、時間をかけて作成するわけだ。
相手に届けば、必ず反応はある。
その反応はあくまでも感謝であり、労いである。批判もあるかもしれない。
それもそれで、至らぬ点としてありがたく受け取ろう。飲み込むかどうかは後で良い。

しかし、ビジネスはそこでは終わらない。いやなんらかの利害が発生するのであれば、ビジネスだけとは限らず、「それがなんぼのものですか?」ということを常に問われていることを忘れないようにしてもらいたい。

まずは・・・上記の繰り返しになるが、その基本的なことは何かを知り、身につけることはお勧めする。
プレゼンテーションスキルを伸ばしたいだけなら、書店にいって、ビジネススキル本コーナーに行き、適当に数冊手に取ってみれば、だいたいわかるだろう。
あるいは検索窓に「プレゼンテーション」と入力し、ググってみれば、山のように出てくる。「人を動かすプレゼン」「わしづかみプレゼン」・・・云々。
それで一つ一つ見ていくとわかると思うが、たいてい同じことが書かれていて、大きな違いはない。


この記事は、2014年8月25日に書いたものを大幅に焼き直したものです。

2021年2月1日月曜日

太く、行く - -Vadis,Get Bold

 昨年の2月末に今年の人材・組織開発に関するテーマを掲げた。
しかし、そのすぐ直後の4月。コロナ禍における初めての緊急事態宣言が発出され、そのテーマより、後に考えていたテーマを前倒しにせざるを得なかった。

さて、2021年度の人材・組織開発のテーマはどうするか?
クライアント各社の方針各々から、導き出すものには、全クライアントに共通するものもあれば、共通しないものもある。
とはいうものの、共通しないものは、ほんのわずかだ。

基本的には経営戦略はどこも、今年に限っては事業や組織のレジリエンスであり、リカバリーで共通している。社会全体がそっちに動きはじめているのは間違いない。
単にコロナ以前の業績ややり方に戻すことを目指すだけで済むなら、そんなに楽なものはないだろうし、それでいいなら、今まで新たなことはやらなくても良かったのだとも言える。
何にしても、コロナ以前の業績ややり方に戻ることはできないだろうから、「できない理由」を並び立てていれば、それでOKな年になるかもしれない危険性を今年は孕んでいる。
これは肝に銘じておきたいところだ。

今年限定のレジリエンスやリカバリー

社会的にも、レジリエンスやリカバリーが来年以降も続くようだと相当きつい。
レジリエンスにもリカバリーにも、それぞれデジタルによる業務改革と働き方改革がもれなくついてくるのは最早、経営者やマネジメント層であれば、誰もが理解している。
理解していないのは、理解しようとしていないだけのことだろうし、理解できないふりをしているにすぎないと捉えている。

コロナ対策としてのワクチン摂取体制づくりも行政ごとに任されている。事例好きな行政であればどこかのパターンをそのまま導入する。これにはアジャストすることも含めると余計に時間がかかる。結果、受付手続きの煩雑さが予想される。健常者が摂取できるのは、早くて7月~9月前後と見ておいた方が良いだろう。

その頃は、夏場なので、新型コロナも多少はおとなしくなると思われる。
問題はこの頃に本当にオリンピックが開催されるか否かだ。
開催されるとなると経済効果は、当初の計画ほどは望めないものの、こればかりは、政府がどのような判断をするか、各国が選手団を送ってくるかどうかで、大きく変わる。
そんなこんなを昨年末から考えながらも、2021年度をどう進めていくかを考えていた。
すると、頭の中は次のように考えるようになっていた。
「実は2020年というのはなかったんじゃないか?」

2019➽COVID19➽2021

つまり失われた2020年をレジリエンスしながら、2021年を乗り切るということだ。
であれば、もう一度2020年度のものを見直し、焼き直した方がいいと判断した。
以下、2020年度の人材・組織開発テーマ「Fortis et Vadis」を焼き直し、2021年度バージョンにしたものだ。

Vadis , Get Bold

ラテン語と英語のミックス。
以下に示すテーマ要素の頭文字を並べると「VADIS=行く」となる。
またGet Boldは単純に訳せば「太くする」もっというと、稼ぐ・儲けるということであり、ちまちまいかず、太く稼げる人材開発をやりますよということだ。
Get Boldは結果であり、太くしようとする意図なので、このための課題と解決方法を各プロジェクトでは考えていくことになる。

さて、そこでVadisである。これは昨年と同じ。その内容は昨年のものと見比べてもらえば、多少、変化していることがわかるだろう。
その違いは考え方によるものだが、やはり、新型コロナによるものが大きい。

●理念とビジョンを改めて確認する(Vision)

まず理念は変わらない。変えない。変えるものでもない。いやコロナごときで変えるものでもないと考える。これはパーパスドリブンといってもいい。
そして自分達が目指すビジョンはいったいどこにあるのか、大きな目標として再定義するか、あるいは意味を問い直すことが必要だ。
なぜなら、ワクチンが導入され全国に行き渡ると、副反応が少なければ元に戻ると考えられるからだ。

ただ元に戻るといっても、人や社会の営みが戻るというだけであって、その在り方ややり方は変化をしていく。いや変化はすでにはじまっており、これが加速し始めることになる。
そうやって新たな道ができていく。そしてどこかのタイミングでようやく、この新たな道が「ニューノーマル」と定義されるというプロセスを踏むことになる。
そうなのだ。巷で言われている現在のニューノーマルはまだ過渡期であるということだ。

●情勢把握(Antena)
世界で何が起きているか?それらが自社事業にどのような影響を及ぼすか?2019年までは遠い世界の話でイメージできなかった人は多かったが、2021年に入った今、世界の状況がいかに直結するかのイメージは持ちやすくなっているはずだ。

何が起きているのかをアンテナを張り、これが日本に、自社にどのような影響を及ぼすのかをイメージする。
情報やデータを分析し、知見を持った人と議論することで新たな発見・発想も生まれる。
全く違う分野の人と話すことも刺激になる。
今はオンラインで友達になり、オンラインで対話することも、なんなくできてしまう時代だ。ZOOMやClubHouseといったツールやプラットフォームを使わない手はないだろう。

また新技術やマネジメント手法も自ら学ぶようにする。
もう在宅勤務は当たり前になるだろう。そうするとオンラインとリアルのマネジメントが求められる。これひとつとっても、新たなことを学ぶ必要があるのだ。そうして、自社のハイブリッドマネジメントを確立していくことをお勧めする。
レガシーなものでも通用するもの・しないものを見極める。
※ハイブリッドマネジメントについてはこちら。

●対話と多様性(Dialogue、Dybercity)

数年前から多様性が求められている。
特に近年は性差や価値観が合わないことを理由に避けることは、もうできない。
危機があった翌年は、女性の活躍に大きいものがあったことは歴史が教えてくれている。
そもそも対話のない所には壁と断絶しか生まれない。
対話のためにも、縦割りだけに留まらず組織横断型のプロジェクトやクロスマネジメントを発展させていくことも必要だろう。

●自身が磨く知性(Inteligence)

①変化する状況から舵をとる方向を判断すること
今、何が起きているのか?状況を打破していくには、何を起こす必要があるかの判断ができること。人間関係においても周囲の変化を把握し、対処する。無用なトラブルを未然に防ぐことにつながる。

②こだわりよりも「理(ことわり)」から柔軟に動く
外部環境の変化に対し、適時対応していく。2021年度は昨年度以上に計画通りにできない可能性はある。最終的なゴールだけをにらみ、都度・適時に対応する。
最初に考えていたことだから、それをやりきる。これも立派な考え方だし、そうすることで物事は達成・成就する。しかし今はそういう安定した状況ではない。社会全体が不安定な時は、計画の精度を上げる方法はたった一つしかない。オプションを用意しておき適時対応でスピーディにやることだ。ただ適時対応していればよいということではない。のんびりやっていては意味がないということだ。大事なことは先手先手で適時手を打っていくことだ。最悪のケースを想定して、その場合のオプションを用意しておくことも含まれる。
その最大の基準となるのは、理念であることは間違いない。

③何かと創造的にアプローチする
既存の知識や技術を組み合わせ、新たなエッセンスを見つけることができれば可能となる。
これは従来の創造的アプローチの最たるものだ。
それよりも、そのアプローチを直感的に生まれる妄想に適応させるように考えよう。
その方が早いし、その方が楽しいし、その方が「具体的」にしやすいし、その方がよほどイノベーティブなことが生まれる可能性が高い。
「こういうものがあったらいいのにな」ここからスタートしていけば良い。
妄想を具体化する方法はセッションでお伝えしていく。
その気さえあれば、たいていのことは実現可能だ。

●スピーディに行動(Speedy Action)していく

VUCAな時代だからこそ、スピーディに動くことは当たり前だ。
そのためにも頭の切り替えをスピーディにやることだ。
そのためには、進め方のオプションを持っておくことだ。
オプションの考え方はいつも言っているトム・ディック・ハリーだ。
※トム・ディック・ハリーについてはこちらを参照。

感染速度が速いのは、人がつくってきた文明が発展してきたことと比例する。
これに対して日本政府の判断が遅いのかどうか、その内容が良いのかどうかの判断をする共通の基準は、誰も持ち合わせていない。
あるのはそれぞれの「べき論」でしかないとわきまえよう。
 
批判することは誰もができるが、だからといって、真っ向からその判断に背く行動をするものではないし、多くの人はそんなことはしないだろう。
政府の味方をするつもりはないが、昨年、政府からあったのは、基本「依頼・お願い」だった。こ2021年は可能な限り、方針に対応しつつ、昨年の記事にも書いたが、これから出てくるかも知れない「指示命令」に注意を払っていくことも必要だろう。

だからこそ、何度もいうが、事業活動に関するオプションは複数用意しておく必要があるのだ。何もできない状態になった時に、つまり現在の飲食業に課せられた状況のようになった時に、すぐに手を打てるオプションを用意しておかねばならないということだ。日本の法律下における緊急事態宣言や措置というものによって、事業の体力がジワジワと奪われていくことは火を見るよりも明らかだ。

●防波堤が決壊していることに、企業は何ができるか?

昨年の記事では、以下を書いた。
感染拡大に対して、いくつかの病院は「最後の防波堤」という自覚はあると聞く。ならば企業は、「従業員、顧客、事業を守る」という意味で「灯台」であってほしい。
企業として、「従業員を守り、顧客を守り、更に事業を守る」
そうすることで、社員や顧客の不安は軽減できるだろう。
企業として、拡大路線に走れない現状では、積極的に「守り切ること」に専念することも必要だ。
特に損益とキャッシュ・フローはしっかりお願いしたい。

それでこれに対して2021年度は、「決壊している防波堤に企業は何をできるのか?」を考えていただきたい。
今、病院が困っていて、自分達ができることは何か?
ちょっと考えるだけで、いろいろと出てくる。
SDGs・・・誰一人取り残さないという考え方も加味すれば、アイデアも生まれるだろう。
SDGsに手を挙げているクライアントとはアイデアを早く確実に実現していこうと思う。

2021年1月1日金曜日

2021年 謹賀新年 新常態への本格的スタート

新年、明けましておめでとうございます。
昨年はいつもとは全く違った日々の連続でした。
弊社の仕事はずっとオンラインのみの対応でしたが、それでも続けさせていただけたことは、新たな仕事の取り組みの構築のお手伝いになったのではないかと捉えております。クライアントの皆様には、お礼を申し上げるとともに、とても大切な思いを共有させていただけたと感じております。

➽➽不確実ではない時代はなかった

かつてない不確実な環境下で2021年が始まると言われています。
では不確実でない時代というのは、本当にあったのか?
最初にこの疑問が浮かびました。
少なくとも私が学生の頃に流行ったJ・ガルブレイス著「不確実性の時代」以降、一度も確実な時代はなかったのではないかと思えます。

➽「どうにもならない」と「異質な不確実性」

さらにコロナ禍により、個人の生活も企業の活動も一変しました。
我々が置かれている現在の状況は、人の流動性を高めて経済を活性化し、感染が拡大すると防止に切り替えるという極端な振り幅を持ち、これこそが、"Nothing can be done"(どうにもならない。)と分断の流れを強化するように思えてなりません。

2020ニューノーマルへの本格的スタート

これまでとは異質な不確実性の中に生きているのだと思えます。
本当のVUCAな時代になってしまったということです。
そして「一年経った」ということだけであって、「どうにもならない」といえるほどの経験値を積んではいないのも事実でしょう。
経済活動というアクセルと感染拡大防止というブレーキは、今のやり方とは違う全く違うやり方が存在し、それは誰もが全く経験したことのない、変えられないとされてきたものの中にこそあり、これが新常態(ニューノーマル)の正体であるのかもしれません。それがどんなものか、誰もまだ見つけていません。
意外に単純な答えかも知れないとも考えています。

➽変えられないという選択肢はないかもしれない

従来ならば、変えられるものと変えられないものがはっきりと分かれていました。
テレワークひとつとってもわかるように、変えられるものであっても変えられないとしてきたのは、我々の感情や思い込みに過ぎないものでした。
それでも変えられないものは本当にあるのか?多分あるでしょう。
あるでしょうが、本当に変えられないものかどうかを今一度吟味してみるのもひとつでしょう。少なくとも今とは違う前進の道が見えてくるはずです。

「ウィズコロナ」はあるにしても、「アフターコロナ」の時代は果たして訪れるのでしょうか。
その答えはわかりませんが、ニューノーマルに向けて変革に伴うリスクを恐れず、事業のプロセス、企業の体質、あるいは生き方や働き方を根本から見直そうとチャレンジしている企業があります。

このニューノーマルの正体を突破できる答えを持つ者が、どこかに現れてくるのかもしれません。
しかし、それを待っているだけに留まらず、我々は目の前の課題と遠い先を見越した課題に取り組んでいかねばなりません。それを忘れてしまった企業や人に進歩はないでしょう。

➽ナウシカの回答は何を意味するのか?

2020年末にテレビでアニメ映画版「風の谷のナウシカ」が放送されていました。
数回観た記憶はありますが、今回はなんとなくクリスマス気分で観ていて、放送されたアニメ映画版と漫画版「風の谷のナウシカ」とではエンディングが違うことを思い出した途端、浮かれ気分も吹き飛びました。
風の谷のナウシカ©スタジオ・ジブリ


アニメ映画版はハッピーエンドで終わりますが、漫画版では、さらに過酷な未来が待ち受けており、文明が失われた世界が描かれています。
猛毒の大気を撒き散らす菌類の森=腐海が人類の生存を脅かし、その腐海が拡大していく。そこは現代と同じマスクなしでは生きていけない世界。
描かれているのは、拡大し続ける新型コロナウィルスに対する現在の我々と同じように、不安や怒りがうずまく人々の表情。
その最終局面で、ナウシカは、失われた文明の一部を発見します。
人々は喜びます。「これで元に戻れる」と。
しかしナウシカは、これを破壊してしまいます。
これがナウシカの文明に対する回答でした。
果たしてこの「破壊」の意味は何であったのか。

この年末年始はいくつもいくつも疑問が浮かび、その疑問に何一つ自分なりの回答を出せない、気持ちの悪い時間を過ごすことになってしまいました。

「一年経った」という事実とそれほどの経験値を積んでいないということ。
変えられないとしてきたことにこそ、もしかすると、ニューノーマルの正体が潜んでいるということ。
この2つを得ただけでも、気持ち悪さも無駄にはなっていないということだろうと考えています。

今年も、弊社は、クライアントの皆様と共に、この不確実な海を漕ぎ進むために、リーダーシップとコーチングをベースに課題解決と事業支援を行ってまいります。

本年もよろしくお願いします。

2021年1月1日 
株式会社ガンビー・コミュニケーション
代表取締役 吉尾直記

2020.01.02追記
1月2日の午後、関東圏の各知事が共同で政府に対し「緊急事態宣言の発出要請」を行いました。
果たしてこれが、どれほどの効力を持って、感染拡大を抑制できるでしょうか。
続くワクチンや治療薬はどこまで感染の連鎖を断ち切れるでしょうか。
変えられないとしてきたものに手をつけて変えない限り、激しい振子が繰り返されるように思えます。


2020年11月16日月曜日

新型コロナ第3波で中小企業がやっておいた方がいいこと3つ

 新型コロナの感染が11月になって、急に広まりだした。第三波目前という様相だ。まだ第三波と確定したわけではないが、このウィルスが2019年末の武漢で発生した頃に比べれば、随分さまざまなことがわかってきたという。

だけど市井に生きる者としてできることは、何も変わりはない。マスク、三密回避、ソーシャルディスタンス、手指消毒などがせいぜいで、これを職場・家庭内で徹底することぐらいだ。

気が緩んでいると言った意見もあるが、そうではない。最初から目的を紐解くこともせず、ただ「こうしなさい】と言われていることをただやってきただけのことだ。いつものことなので、とやかく言うほどのことではない。どうせ言うのだったら、目的からしっかりと確認したほうがマシだ。

GO To Eatの予算も11月15日の時点で使い切り、経済的には若干停滞することになるのかもしれない。ここからが挑戦するところなのに、ニュースで流れてくるのは「もう駄目です」と嘆く店主の声ばかり。十分立て直しを図った店もあれば、そうではない店の声ばかりが聞こえて来るのは残念だ。

こういった飲食店舗にとっては、もう少しの間、経済活動を進めていきたいところだろうが、北海道が緩めとはいえ自粛制限に入ったことは、他府県に大きな影響を与えることにもなるだろう。

いずれにしろ、経済活動を活性化すれば、感染は拡大し、感染拡大を抑止すれば、経済活動はしやすくなるということ自体はなにも変わらない。果たしていつまで続くのか?しばらく繰り返しが続き、そのうちニューノーマルと言われる時代がやってくるということだろう。

では中小企業はどうか?全国的に感染者数の増加もさることながら、クラスターも発生しているので、改めてしっかり感染予防を徹底する必要はある。それで通常活動ができるかというと、そういうことでもないだろう。

できる部分はできる部分として続けていけば良い。そうでもないところをどう変えていくかを考える必要はあるだろう。ただ何を変えていくにしても、短期的な視野ではきついものがある。

この段階で必要なものは、ワクチンができた後、回復期を見越したビジョンと何があっても会社を存続させるという経営陣としての意思が必要だ。

悲観的な話で申し訳ないが、コロナ禍は短期的なものではなく、長期的なものになりそうだ。武漢型新型コロナが発生したのは1999年12月。東京型といわれたものは5月。まだ1年も経っていない。気候により変異していると言われているコロナウィルスに対抗できる術を人類が持ち合わせるまで、まだまだ時間がかかりそうだ。そうするとビジネスを取り巻く環境の変化はますます激しいものになり、まさしくスーパーVUCAな状況になると直感的であっても間違いはないだろう。

本当に第三波ともいうものが来て、企業活動の縮小や一時停止が余儀なくされた場合、何をすれば良いか?もっとも恐ろしいのは、危機的状況において「何もしない」という選択をすることだ。真価が問われているのに、何もしないのだとしたら、会社は先々しんどくなることが確定したようなものだ。

やれることはたくさんあるが大きく3つだけ提案しておきたい。コロナ禍において、人材育成にチカラを入れること、デジタル・オンライン化の推進すること、これらを含めて企業としての価値を高めることだ。

決して元の状態に戻るわけではない。元の状態でやっていける事業であったとしても、それを良しとするのは顧客側であって、NOとされれば、市場から退場させられるだけだ。



➽➽人材育成に集中度を上げる

緊急事態宣言以降において、集合型研修は困難になり、在宅からのウェビナーや、ビデオ会議ツールを使った研修は取組みやすくなった。これには電車移動がなくなるといった時間的余裕と精神的苦痛からの開放が功を奏した。

このマーケットは一気に花開き百花繚乱状態になった。アナログでやっていたものをそのままオンライン化した録画物セミナーや、ビデオ会議ツールを使っていても一方通行のものが多く目立ち、この中から自社にあったプログラムを見つけるのは至難の技でもあった。

そこで重要なのは、後でふれるオンライン・デジタル化にも通じることだが、社内の研修やOJTも含めて、ビデオ会議ツールを使って双方向で進めていくことだ。

社外講師とのセッションでも、少人数で双方向のコミュニケーションが取れる状態でやれればそれが望ましい。少なくても弊社ではそうしており、リアルのセッションとなんら変わらない状況を再現している。違いは「顔」だけが見えていて、その周囲が見えないことぐらいだ。

ここに問題があるとすれば、経営陣が人材育成にチカラを入れることを第三波中にするかどうかということだ。ちょうど評価の時期でもある。評価の目的は以前書いたが、今一度確認してもらいたい。

➽➽デジタル・オンライン化の推進にチカラを入れる

とかく中小企業の昭和の経営陣は、デジタルに弱い。経営陣だけではなく、幹部クラスでも圧倒的に弱い人が多い。しかしよくよく見ていると、弱いのではなく、単におっかなびっくりなだけであって、電気自動車には乗っているし、スマホやタブレットも使っている。使いこなせているかどうかは別にして「デジタルが苦手」というのは単なる思い込みに過ぎない。使っていないからわからず、わからないから手をつけず、手をつけないから苦手なのだ。このパターンは子供がやる苦手なものに対する行動パターンと同じだ。

2020年はデリバリーへの移行や導入をせざるを得なかった食品メーカー、飲食店関係は山のようにある。デリバリーが無理でもテイクアウトを導入した。それもこれも新型コロナ感染防止のための接触回避や飛沫感染防止に他ならない。

こういった移行をしたところは、小さい個人商店はなんとかやっと維持できている程度かもしれないが、確実に固定客を増やしつつある。こういったデリバリーにしろ、テイクアウトにしろ、基本はオンライン予約によるものが圧倒的だ。おまけにクーポンがついてくるものが多くなった。ただ政府が主導していたGoToEatは予算が上限に達した。ここから本当にデジタルでのサービスの差がつきだすのだろう。利益率は少なくなるかもしれないが、オンラインサービスをうまく利用することで、中小企業も更に生き延びる手立てはみつかるはずだ。SNSやWebを使ったマーケティングを考えるにも、自身で発信してみてどのようなレスポンスが起きるのかを体験しておくのもひとつだろう。

更に社員に、デジタル・オンラインに慣れてもらう必要がある。例えば多くの企業でパソコンは一人一台環境はあるのだが、使い方がおかしい企業は多々ある。

例えば、エクセルで文字情報やイラストを駆使した企画書や文書を作成している。あるいはエクセルを使い倒していると思っていたら、関数もあまりしらず、当然マクロも知らず、コピペを繰り返して、新たな文書をつくるというワープロレベルでしかない使い方をしている人達もいる。

ITリテラシー的な問題もあるだろう。メール件名の付け方やレスポンスタイミングなどはその真骨頂ともいえる平成初期の問題だ。これらも苦手意識からなんだかんだと理由をつけて回避してきたに過ぎないことにいい加減気づいて自身に修正をかけてもらいたい。

➽➽企業価値を少しでも高める努力をする

大きな経済活動と大きな感染拡大予防が波のように繰り返すのでは、長期的なビジョンを考えていくのは難しいと思われるがそうではない。むしろチャンスだ。不安定な時、ビジョンを有することは、資金調達面でもプラスに働く。経営者の強い意思をみせるほどに金融機関は融資に応じる可能性は高い。いまやスーパーVUCAな状況で、用意している判断基準に照らし合わせているだけでは、将来性が見込めないということだろう。実際私の知り合いでも無担保で銀行から高額融資を受けている。金利も極めて低い。その資金で、上記の2つに取り組んでいくことも考えられるし、他にも投資しなくてはならないこともあるだろう。

第三波が本格化し、事業活動の一時停止や縮小が余儀なくされた場合は、上記の他にもやれることは多々ある。

仕事の効率化やずっとやっている企画の効果性などを見直し再考してみるのもひとつ。これらの分析予測の精度を上げていくことも一つ。じっくりと考える時間的余裕がなかったものに取り組み、新たなアイデアや、現場からのアイデアを試すことだ。こういったものトライがやがて自社の将来につながっていく。

くれぐれも将来の成長につながらない在り方=何もしないで「なんとかなるだろう」と高を括るようなことだけはしてもらいたくはない。


2020年11月2日月曜日

ハイブリッドワーク&マネジメントへのヒント8つ

冬場に向かって、インフルエンザと共に陽性者率が増加してきているようだ。今年の初夏以降、一旦職場での仕事を再開させた企業も、年末年始にかけて再びリモートワークを強化していくことになるかもしれない。多かれ少なかれ、そういう事態になっていくだろう。

今後の新型コロナ対策を考える上で、職場での業務再開とリモートワークのハイブリッド化は必須ではあるものの、中小企業にとっては、人材が不足していることやAIやRPAの導入が遅れていることもあって、リアルとリモートのマネジメントを切り替えるのが困難であるのが実情のようだ。

遠隔地である支店や事業所・営業所との会議などのコミュニケーションをオンラインですることがせいぜいで、実際のマネジメントそのものはあまり変わりはないとよく聞く。

それでは、遠隔地のメンバーとのミスコミュニケーションが起きることは否めない。それでなくても、ミスコミュニケーションは起きているわけだから、いわずもがな。

以前にも書いたことも含めて、この冬を迎え、乗り越えていくにあたって、リアルとオンラインでのリモートワーカーをどうマネジメントしていくかを改めてまとめることにした。

※今回の記事でのリモートワーカーは、特に注釈がない限り、在宅勤務者とは限らず、出社していてもリモートで仕事をしている人のことを指す。

クライアントには、一度に全てをできることを目指すよりも、ひとつずつ確実にできるようにしてもらいたい。

マネージャ(管理監督層)を中心に書くことになるが、一般社員やプロジェクトメンバーもお互い様という意味で理解と実践をお願いしたいところだ。

➽➽リモートワーカーの不満がそのまま解決策に直結する。

リモートワーカーの不満は、マネジメント側には見えにくい。リモートワーカーの不満は、ほとんどがコミュニケーション不足ということだが、これにともなって、マネジメントが機能していないということもある。

➽部下がマネージャにアクセスしにくいことが最も大きい問題

これは逆の立場でもよく聞く。お互いに顔が見えていないので、コンタクトが取りにくいという。電話であれば一方的なので気にせずかけているにも関わらず、オンライン会議という呪縛にかかっている可能性もある。

まず本当にオンライン会議の形態を取る必要があるものかをよく考えれば、そうでもないことも結構あるものだ。電話で済む場合もあれば、メールやメッセージ、チャットといったテキストコミュニケーションで済む場合もある。

●その辺については以前書いたので、それを参照してもらいたい。

ポイントはガチガチのルールにすることではなく、ゆる~いルールにしておくことだ。

コンタクトが思うようにできないことによって、何が起きるかを考えると、例えば、チームメンバーとのつながりを維持することを難しく感じてしまうことやマネージャ自身やメンバーのストレスを解消すること、勤怠管理、人事評価、チームのモチベーションを維持する、活発なミーティングの開催、進捗状況の把握、情報交換が難しく思えているのだ。

リモートワーカーの不満がそのまま解決策に直結するので、「何をすれば良いか?」自体はさほどわかりにくいことでもない。問題は「どう変えていくか?」ということだ。






➽➽ハイブリッド・マネジメントへどう変えていくか

➽1.まずは業務効率化を進めていく

リモートワークでやろうがそうでなかろうが、業務を効率化すること事態はいつもついてまわるものだ。ならば、上記の問題のうちのいくつかは、リモートワーカーがいなくても、「いる」ことが前提で考えておけば、ハイブリッドでの切り替えもシームレスなものを目指し、スムーズにできるようにする。

例えば、オンライン会議なのは最たる例だ。同じ社内であっても感染拡大防止の一環でオンライン会議ツールをつかって、各個人の自席から参加することも可能だろう。もう会議は会議室でやるものだという前提を捨てても良い頃だ。頭が固い人ほど、自席で話すものでないという固定観念に取らわれがちだ。実際は電話で話しているにも関わらずだ。

また勤怠管理や人事評価ツール、プロジェクトの進捗管理も効率的にできるオンラインサービスが、この半年間でたくさん登場したので、探せば、自社にあったものも見つかるだろう。

ちょっとしたプロジェクト管理であれば、エクセルやGoogleスプレッドシートであれば、無料で優れたテンプレートが山のようにある。

➽2.効率化の鍵=重要ではない仕事を減らす

リアルであってもオンラインであっても、重要でない仕事を減らす努力をしていない企業は、いつまでたっても効率化はできない。何も減らさず、何も変えずに効率化を図ることを要求される担当者にしてみれば、拷問のようなものだ。まるで永遠のデスマッチだ。

早急に業務の棚卸しをし、いわゆる「業務仕分け」をすれば良い。RPAなどの自動化ツールを使えるものは使っていけば良いし、RPAに至らなくてもエクセルのマクロなどを使えば、手間取っていたことも簡単にできることもあるので、調べてみるのは必須だ。

➽3.目標は曖昧にせず評価できるようにする

目標は目標でも、定性的な目標は、認識の違いにより解釈が変わり、アウトプットが違うものになる可能性がある。リモートワーカーとの目標設定は曖昧にしたり、定性的であるとすれ違いがあるので、可能な限り定量的な目標を設定しておく。

リモートワーカーがどれだけ頑張って、どれだけ努力したとしても、アウトプットが期待されるものでなかったら、それが評価されることは少ないし、マネジメントする側にしても評価しようがない。

そこで成果物や実績で評価される制度に切り替えている企業も多い。曖昧な目標設定や定性的目標は、お互い不幸になりかねないので、評価を適正に確実にしていくためにも定量的な目標が必要だ。とはいえ、定量的な目標だけに終始していると、関係性がギスギスすることもあり得る。大事なことは定性目標をどこまで定量目標に変換できるかを考えることだ。

➽4.プロジェクトの進捗状況を共有化する

共有するだけなら、オンラインツールを探して使うだけで良い。オンラインツールのほとんどは、共有することが前提になっている。

問題は「共有化」だ。つまり、共有した上でそれぞれのメンバーが「では、次に私は何をどうするか?」がそれぞれの意思で明確になっているかどうかだ。これにはオンラインツールでも共同作業ができるものを選ぶといいだろう。

共同作業できるツールであれば、上司がメンバーに直接的に教えている感覚も持てる。その上で同じオフィス空間で働いている時以上に、部下の進捗状況報告による共有と次の課題に向かう上での「共有化=次に何をどうするか?」を必ず行うようにしていきたいところだ。これはリアルだろうが、オンラインだろうが、同じフォーマットでできるだろう。

違いは、リアルの場合は口頭で済む場合が多いが、オンラインの場合はテキストコミュニケーションでやれば良い。どうしても確認が必要、共有内容の深堀が必要であるということなら、オンライン会議サービスや電話を使えば良い。

➽5.問題があっても解決策を求めない

メンバーがリモートワークで仕事をしていると、業務上の多くの問題に気づくことがある。リアルでは気づかなかった問題発生の兆候を発見したりすることが多い。それらは、マネジメント方法に起因することが多いのだが、マネージャがオンラインで進める事自体に躊躇していることや、前向きになっていない時だ。

こういったマネージャのやりがちなこととして、「このあたりは気になる。もしかすると大きな問題になるかも。」とメンバーが報告した場合、「では解決策を考えて提案してくれ」ということがある。

新型コロナの状況下では、問題に対して多くの人が明確な答えを持っているわけではない。ここで必要なことは、マネージャが「一緒に解決策を考えよう!」と投げかけ、共に進めることだろう。

問題が山積みになり最悪になる前に、解決するために適時フィードバックすることも忘れてはならない。細かすぎず適切に頻繁にフィードバックし、共に考えるスタンスを維持できれば、問題の山積みから来る大きな修正が回避できるようになる。そうすればチームとしての平穏に仕事に向かうことができるようになるだろう。

➽6.通信環境の問題をクリアできない人もいない人に解決策を提供する

リモートワークでは、通信環境や仕事をする環境をそれぞれに任されていることが多い。在宅勤務のリモートワーカは、仕事をする場所と家族と一緒にいる場所が一緒であったり、プライベートと仕事の切り替えが難しい場合がある。そういった人達は、仕事に集中しにくい状況にあるということを理解しておくことも必要だろう。

メンバーの仕事の進捗が遅いと「サボっているかも」と疑問が湧くこともある。メンバーにしても「サボっていると思われているかも」と思うこともある。お互い疑心暗鬼の状態になってしまうわけだから、ほうっておくと関係性はギクシャクしたものになっていく。これは避けたい。

マネージャとしては、通信環境や業務遂行環境に関してやりにくいことはないか、困っていることはないかをしっかりと確認し、メンバーの自宅近くのホテルやレンタルルームなどを借りる許可を出す必要もあることを知っておこう。

一方で、機材を会社が全て提供してくれることはもはや珍しいものになってきている。セキュリティツールの提供はあっても、PCやWEBカメラ、ヘッドセット、Wi-Fi環境は自分で用意することが前提になっている会社は多い。

これをとやかく言う人もいるが、電話は自前で用意するのに、PCなどの道具は会社が用意すべきという理屈は成りた立たないと言われても仕方ないだろう。会社都合で在宅勤務になったからといって全額会社が出す理由にはならないことも当然なのは、通信環境という意味ではなんら変わりはないからだ。

➽7.一人リンゲルマン効果を防ぐ

ハイブリッドマネジメントを目指す上で、これが最も影響が大きいものかもしれない。

多くの場合、リモートワーカーは、自身の判断で業務を進めていくことになる。そうすると、一人リンゲルマン効果によって思わぬ方向に進み、期待とは違ったアウトプットになることもある。

リアルの場合は、わからないことや迷うことがあれば、すぐに質問ができるが、リモートワーカーにとってはなかなかスムーズにできるものではない。特に在宅勤務のリモートワーカーにとっては深刻な問題に成りかねない。

そこで定期的なミーティング(オンラインでもリアルでも)をすることになるが、シームレスにやっていくことを考えれば、オンライン会議の定期開催は少なくし、こまめなフィードバックは、報・連・相と連動する形でテキストコミュニケーションで進める方がお互いに気が楽だと思われる。

あるいは、アウトプットやこれに伴うコンテンツと必要とされるプロセスが一定であるルーチン業務にすることで、安定性を確保することもできるだろう。ただし、この手のルーチンによって、メンバーの成長を図ることは困難であることを知っておこう。

また定期的なミーティングは、週の終わりに、具体的にストローク(肯定的なフィードバック)をする時間を確保することも忘れないようにしたい。

➽8.マネジメント・コミュニケーションでのオープンチャネル

議題がなくてもかまわない。ちょっとした雑談も必要だろう。そのためには、マネージャは、テキストコミュニケーションのチャンネルをオープンにしておくことが必要だ。テキストコミュニケーション上で、「これは話す必要がある」と判断した場合に、即座にオンラインや電話にすれば良い。こういったコミュニケーションチェンネルをオープンにすることで、頻繁なコミュニケーションで距離感を縮めることにもつながるだろう。

但し、オンライン上にお互いがいるということは、感情は複雑になりがちだし、いくら距離感を縮めるといっても、頻繁なやり取りを避けたいメンバーもいれば、マネージャのキャパ以上のやり取りをしたいメンバーもいる。お互いの立場を尊重しよう。

そういう意味では、マネージャは、チャネルをオープンにできる時間とそうでない時間を、共有カレンダーサービスなどを使って明示しておくことも求められるだろう。これは逆の立場でも同じだ。メンバーにしても、集中して業務を進めたい時に、いきなりマネージャから「調子はどう?」と割り込まれたら、鬱陶しいはず。

マネージャ自身の都合を開示し、メンバーにも都合を開示してもらって、つながっていくことで、信頼感を醸成することにもつながるだろう。

➽➽リモートワークのマネジメントでも、やはりコミュニケーションが重要

新型コロナへの対策でのリモートワークは当たり前に取り組めるようになった企業でも、実はもともと「働き方改革」としてリモートワークが要求されていたことを忘れていることが多い。これには会社としてのマネジメントを体系的に見直すことが必要なのだが、その前に新型コロナがやってきてしまって、リモートワークを前倒しにしたのは良かったのだが、そのままになっているのだ。

会社としてのマネジメント体系を整備し、今後もリアルとオンラインのハイブリッドマネジメントを確立することがいよいよ求められる状況になってきたと思える。

クライアントには、各社のハイブリッドマネジメントについて、共に考えていくことにしようと考えている。


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