2020年9月1日火曜日

BCPの価値と見直すポイント5つ


本日9月1日は「防災の日」8月30日~9月5日までが防災週間。
2011年の東日本大震災後、多くの企業が地震対策の一環で、BCPに取り組んだ。その後、豪雨・スーパー台風が各地で相次いだが、当該地域は別としても、直接被害がなかった地域は、見直すことは少なかったことはよく聞く。

さらに2020年になって、新型コロナ感染症対策が要請され、企業にとっては、経済的ダメージが大きくのしかかった。そして感染症対策もBCPの一つとして扱われるようになった。
感染症対策そのものは、2009年の時点で策定されていたのだが、これまで大きく扱われることはなかった。

加えて今年の夏場は熱波による猛暑日の連続と熱中症の増加。
これについてもいずれBCPの範囲に入れておくことになるかもしれない。

➽➽なかなか取り組めない中小企業のBCP

中小企業ではBCP対策が進んでいるかどうかといえば、進んでいるとは言い難い。なにしろ、少ない人数で事業を回しているのは、どこも同じだろう。
そのために、内閣府が定めた「事業継続ガイドライン」があり、中小企業庁が「新型インフルエンザ対策のための中小企業向けBCP策定指針」を出している。
これを参考につくれば、早晩、完成させることはできるだろう。
各社の各事業まで細かくフォローされたテンプレートではないので、会社全体は当然としても、少なくともフロント系とバックオフィス系のものが用意されていなければ、意味をなさないので注意したいところだ。

➽予防対策とBCP

またBCPはあくまでも、その名前の通り「事業継続計画」だ。
事業を継続し、回復・復旧するための実行計画であるので重要だ。

しかし予防対策としての防災対策や感染防止策と混同されていることを少なからず見受ける。
防災対策や感染防止策は、その名前の通り、BCPが発動される前段階で必要な対策。ややこしいことは否めないが、問題解決思考における対策の区別をあてはめれば、理解しやすいだろう。

予防対策があって、被害を被らないようにする、あるいは、被害を少なくするようにしておき、その上でBCPが発動され、事業を継続しながら、いち早く回復していくための実行計画となる。
しっかりと予防対策としての防災対策や感染防止策が区別されていれば、BCPの中に含まれていても混同することはない。

➽➽BCPの原則ともたらす価値

予防対策があるから大丈夫だ。避難訓練もしているし、緊急時連絡網もマニュアル化されており、その訓練もしているから大丈夫だ。合わせて備蓄もしているので大丈夫、時差出勤や在宅勤務の体制も考えてあるから大丈夫だと考えている中小企業も多くある。

予防対策とその実行は、あくまでも被害を少なくするためのものであるから、現在以上の価値がもたらされるわけではない。
では、BCPではどのような価値がもたらされるのか?

➽BCPの原則

BCPの原則は、社員の安全確保。
企業の事業活動を回復させ、社会に商品・サービスを提供し続けることが目的であるが、これを担うのはあくまで社員。だから大前提となる。
このブログでも数回書いてきたが、社員の安全確保が第一。
これが顧客を守ることにつながる。

今回の新型コロナ対策で、とある地方のショッピングモールが逆をやってしまい、モールに務める従業員が感染クラスターになってしまった。「顧客を守ることが第一」としたために、従業員の安全確保が疎かになってしまったということだろう。その時の気持ちと判断はわからないでもない。

➽BCPがもたらす価値

以下、BCPが作成されており、社内で共有化されている場合、どのような価値がもたらされるのかをまとめた。

●事業活動の観点
これが最大の価値であることはいうまでもない。
災害時・感染拡大時における事業活動を混乱なく継続・回復できること。
更に、自社にとって重要な業務とリソース、これに伴う予防対策を改めて確認することにもつながり、通常時の業務効率や経営判断にも役立つ。

●ブランディングの観点
社会が求める商品やサービスを平常時より劣るものの、提供し続けることで、社会的責任を果たすことになり、長期的には、企業イメージの向上につながる。
また、災害時・感染拡大時の自社としての対策や代表者からのメッセージを社外に発信することにより、リスク管理を徹底している企業として、取引先や顧客からの信頼を得ることも可能となる。不安の中に「安心感」を提供することになるからだ。

➽➽実行できるBCPにするために見直す

防災対策にしても、BCPにしても作って終わりというわけではない。
この計画が実行できなければ意味をなさない。
計画づくり自体が目的なのではなく、実行可能な計画を立て、マニュアル化し、共有化することが重要だ。

ReviewOfBCP

















➽BCPを見直すポイント5つ

BCPのポイントとしては、以下のものが策定されているかどうかだ。

●継続・縮小させる事業の選定ができるか?
これは経営層の役割だが、中核となる事業と他の事業をどのぐらいのレベルで継続し、徐々に回復させていくかを決めておく。
自然災害の場合は、人が動けてもインフラが分断されている可能性があるので、
サプライチェーンが機能しないこともある。
その場合を想定したBCPが必要となる。

●人員と業務をどうマネジメントするか?
感染症の場合は、チームによる交代勤務や在宅勤務によって、ある程度の事業継続は図れるが、自然災害の場合は、出社そのものが不可能になる場合もあるし、業務を続けること自体が不可能になる場合もある。そうなった場合を想定して、社員一人で複数の業務を進められるように、業務のマニュアル化と訓練はしておく必要はある。
もちろん、ここにはマネジメントもクロス型でやる必要も発生することを視野に入れておく。

●運転資金の確保をしておく。
いくら事業を継続できたとしても、自然災害によりインフラが分断されたり、感染症で社員が身動きできず、事業停止に追い込まれた時のことを想定し、最低でも3ヶ月程度の運転資金は確保しておかねばならないことは、東日本大震災での復旧や新型コロナ対策で明らかになった。投資的に考えて蓄えておくことは必要だろう。

●BCP発動基準は明確か?
自然災害の場合はどうするか、感染症の場合はどうするか、どのような状況になれば、どのような体制でBCPを発動するのかを決めておく。
もちろんその際の指揮系統、経営トップの代役の想定も必要だ。

●備蓄はあるか?
これはBCPの範疇ではなく、あくまで予防対策(防災対策、感染予防対策)ではあるが、備蓄の必要性はわかっていても、フタを開けてみれば備蓄をしていなかったとよく聞くので、敢えて上げておく。
何を備蓄しておく必要があるか?どれぐらいの備蓄が必要か?のリストが明確であり、かつ備蓄そのものが実行されている状態を普段から保っておく。
自然災害のリスト内容と感染症のリスト内容は違うものであるはずだ。

以上の5点に答えられないBCPだと、誰もが困ることになるので気をつけたい。
他にもあるだろうが、今あるBCPの最低この5つのポイントだけは見直して、更新しておくことをお勧めする。

➽共有すること・共有化すること

誰が見てもわかる・できるレベルようにすることによって「共有」となる。
その上で、一人ひとりが自分が何をすべきかを判断し、行動に移れるようにすることが「共有化」
少なくても共有まではしておきたいところだ。

最近、小規模な地震が続いている。
自然災害と感染症が重ならないことを願うばかりだ。


今回の記事を作成するにあたって、リスクマネジメントのコンサルタントである秋月雅史氏にアドバイスをいただいた。感謝の意をこめて、彼の最近の研修内容をリンクしておく。

2020年8月22日土曜日

オンライン研修・会議へ出席する前に注意すること3つプラス1

オンライン研修を実施する側にしてみると、出席者のPC設定と接続操作のもたつきによってスタートが遅れることが度々ある。
知人のコンサルや研修講師に聞いても、大抵スタートは、5分~10分程度は遅れるという。

online MTG pre-set-up





➽➽オンライン研修・会議出席する前に注意すること3つ

リアルの研修や会議に出席する時は、少し余裕を持って会議室に行くのは常だろう。事前に配布されている資料も確認もしているだろうし、前回記録も確認しておくのも常に怠りなくやっているとして、それでもオンライン会議のスタートが遅れる。
なぜかを考えるまでもなく、それは慣れていないだけのことだ。
パソコン苦手という思い込みにも似た意識が邪魔をしているようにも思えるが、電話でできたことができないはずはなく、習慣的になっていないだけのことだ。

➽接続するまでの「もたつき」をなくそう

電話が鳴ると受話器を取る、あるいは受信アイコンをタップするだけで会話がスタートする。
オンライン会議だと、大抵、会議のURLが送られてくる。これをクリックもしくはタップすると接続される。
この時。事前にヘッドセットを装着するひと手間がある。どんなグループやどんなチームでも、ここでもたつく人が一定数いる。
ヘッドセットを装着する→URLをクリック(タップ)する→許可されるまで待つ。
これだけのことだが、もたつくとそれだけで時間をロスする。

➽映り具合を事前に確認しよう

接続できても、逆光になっていたり、部屋の電灯の真下にいたりすると、その表情は、ほとんど影になってしまっていて見えない。これはファシリテータ泣かせとなる。相手に表情を見えないということは、暗い印象しか与えず、体調がすぐれないのか?敢えて見せたくないのか?といろいろと余計なことまで考えてしまうので、気をつけよう。
接続前に映り具合を確認し、照明をあてるか、逆光にならない場所に移動し、自分の顔がしっかり映っているか確認しておく。

➽マイクチェックも事前に必ずやっておく

特にPCを共用している場合は、前回使用者が設定を変更している場合もあるので、要注意。人によってはヘッドセットを使わない場合もあれば、使う場合もある。PCの処理はヘッドセットのマイクとPC内部のマイクとWEBカメラのマイクのボリューム設定は別になっている場合もあるので、確認は必須。

研修や会議が始まる前に、確認しておき、その状態でミュートして、アクセスすれば良い。

少なくとも、参加するだけなら、以上の3つをしっかりやっていれば、会議のスタートでもたついて遅れることはない。

➽➽プラス1=研修・会議開始までの手順を自分でやってみよう

大抵のオンライン会議アプリは、無料でも使える。
自分がミーティングを設定し、参加してもらいたい人に招待をしてみよう。
そうするとどれぐらいの手間がかかるかも理解できるだろうし、お互いのサポートもしやすくなるだろう。
ミーティングでなくても、短い時間でいいので、やってみよう。
接続するまでの流れを覚えてしまえば、後は応用だ。

わからないのはやってないからわからないだけだ。
やらない内からパソコン苦手と思い込んでいるだけだ。
電話を使うのと同じレベルで、ほぼ自動的に使えるようになるまで、自分発信で練習してみれば良いことだ。

慣れていない人は、この3つ+1から始めていけば良い。
そして以下も参考に、オンラインコミュニケーションのスキルを上げていこう。
●リアルとオンラインコミュニケーションの決定的な違いと対処
●続・リアルとオンラインコミュニケーションの決定的な違いと対処
●リモートワークのコミュニケーションを効果的にする方法

2020年8月7日金曜日

続・リアルとオンラインコミュニケーションの決定的な違いと対処

オンラインであっても、しっかりと相手に配慮して、コミュニケーションが取れている人は確実にいる。
こういった人は変化に対する適応能力が高いか、オンライン・コミュニケーションで配慮することに工夫している人達だ。決して話し方が上手い人とは限らないが、確実に使い分けている。
反対に何も変わらない人もいる。
意外にリアルコミュニケーションの伝え方が上手いとされる人でも伝わらない人もいる。しかしこの手の人はこだわりが強くあるだけで、違いが理解できれば、すぐに切換えられるだろう。

➽➽オンラインコミュニケーションでの「音」

切換えられない・使い分けができない人は、強いて言うなら、リアルコミュニケーションでも配慮に欠けがちな人だろう。
オンラインコミュニケーションの配慮については、前記事「リアルとオンラインコミュニケーションの決定的な違いと対処」を参照願いたい。
今回はオンラインコミュニケーションでの「音」に関する配慮に焦点をあてた。

➽マイクはほとんどの音を拾っている

WEBカメラに内蔵されているマイクはほとんどの音を拾っている。ノートPC内蔵のマイクを使用している人も要注意。WEBカメラに比べると性能は落ちるが、音は確実に拾っている。
距離と音量の関係で、遠くて小さい音は拾わないが、近くの小さい音はしっかり拾う。遠くの大きい音も当然拾う。
近くの小さな音は自覚の問題でもあるので、ここで確認しておこう。

OnlineCommunicationKnowHow2

















➽近くの小さい音で目立つもの

コミュニケーションには雑音が常について回る。それはリアルであっても同じだ。コミュニケーションモデルの図を思い出してもらいたい。真ん中にどーんと「雑音」とあったことを思い出す人もいるだろう。
「雑音」には大きくわけて2種類あるが、オンラインにおいては自らが気づかず発している物理的な音をどれだけ排除できるかもスキルの一つだ。

あまり神経質になるのもどうかと思うが、気になるところは人によっては違うものだ。可能な限り、余計な雑音の発生は抑えておきたい。
以下は、意外に気づいていない近くの小さい音のよくある例だ。

①聞こえていないと思っている小声や舌打ちがダダ漏れ。
これはよくある話しで、相手が気づかない振りをしてくれているだけだろう。
あるいは相手が気にしないようにしてくれているのかも知れない。ほんのわずかな舌打ちが聞こえてくる時がある。これは多人数の時にありがちだ。
また他者の発言中に「よくいうよ」といった批判的な独り言が聞こえてくる時がある。これは雑音のもうひとつの種類である心の声が漏れてしまっている。
対処法としては、自分が発言していない時はミュートする他ないだろう。

②飲料を飲む音が聞こえている
特に飲み口を離す時やストローで吸っている音はよく聞こえる。
あるいはボトルを上げ下げする時の「チャポンチャポン」という音も同じく。
飲む時だけミュートするか我慢する他ない。

③何気ない咳払いも結構うるさい
多分、本人は咳払いをしたことさえも気づいていない。
気づいていないので、マイクに向かって咳払いすることになる。
相手には単なる大きな雑音となって聞こえる。
これもその時は、マイクミュートするか、マイクと正反対を向くしかないが、後者はいきなり顔を背けられたと勘違いされる恐れもあることもわきまえておく。

④マスク越しに聞こえる鼻息とため息
複数人が同じ部屋で距離をとって着席してオンライン会議に参加している場合は、マスクを着用しているのは良いのだが、そうすることによって口元が隠れているので、安心しているのか、そのままマイクに向かって鼻息やため息を漏らしている。大きな音で聞こえてくるので、気をつけたいところだ。
これもミュートで回避できるが、1対1の時や少人数の時は、ミュートはあまりしないので気をつけたい。

⑤電話の時と同じように声が大きくなりがち
電話の時に限って大きな声で話す人がやりがちだ。PCに内蔵されているマイクは最大音量を越えないように減衰させようとする。そうするとアナログメーターで表すと針が振り切った状態の連続になり、割れた音が相手に届く。
通常での話す音量で十分だと捉えておいて問題ない。

⑥振動の音が聞こえている
ノートPCではあまりないが、デスクトップ型PCのキーボード入力の音にも注意したいところ。
特にENTERの打鍵時。必要以上に力を入れて打鍵する人がいる。
これが机などの硬いものの上にPCを置いて打鍵すると、キーボードの打鍵音もさることながら、その振動音をマイクが拾い、これが出力される。
ドドドッという重低音が聞こてくるやつと言えばわかりやすいかも知れない。
入力は軽目の打鍵であったも大丈夫だと知っておこう。

これらの音が小さなスピーカやイヤホンでは立体的に聞こえているわけではなく、のっぺりと均一化された状態で聞こえる。つまり近くの小さい音と遠くの大きな音の音量にさほど違いはないということ。オンラインの音とリアルの音の聞こえ方は随分違うことに多くの人が気づいているはずだ。

➽オンライン会議を録画して確認してみる

総じて、リアルでは視界いっぱいに全体が見えているので、音が際立つことは少ない。これは五感で捉えているからだ。
しかしオンラインでは、これが嫌でもよく聞こえてしまうので注意したい。
一度オンライン会議を録画して、確認してみると、上記したこと以外でも気づくことは多々あるだろう。

➽➽画質が良くても音質向上はこれから

大抵の人はノートPCとWi-Fiを使ってオンライン会議に参加している。
Wi-Fiといってもインターネット回線上でコミュニケーションを交わしているので、電話回線ほどの音質は期待はできない。
上記したいわゆる雑音とは別問題。
画質が良いことに越したことはないが、その分インターネット回線の帯域を取るので音に割り当てられる帯域は狭くなる。
専用線を契約していない限り、接続プロバイダのベストエフォートでしかない。
一回線でのインターネット接続とその利用、そしてオンライン会議への参加者数が増えれば増えるほど、画質も劣化し、音も劣化するのは否めない。

Wi-Fiよりも有線LANで接続しておく方が安定する場合も多々あるので、自社の接続環境を鑑みてうまく使い分けていく他ないだろう。
あるいは接続できるインターネット回線を増やすぐらいだろう

あわせて、テキストコミュニケーションについて書いた記事も参照してもらえれば、使い分けの必要性も理解していただけると思う。

2020年7月29日水曜日

ニューノーマルに適応するまでのステップ

➽➽ニューノーマルは掛け声なのか?

ニューノーマルという言葉は毎日のように聞く。
ニューノーマルな時代が本当にやってくるかどうかは誰にもわからない。
現在求められている行動変容にしても、その目的を忘れ、ただカタチだけやっていて、促進・工夫を重ねていくことを忘れてしまっているのではないかと思える人もちらほら見かける。
以前書いた記事「新たな日常に向けて準備を始める」に書いたニューノーマルに適応するまでのステップを更に詳細にまとめた。
ただニューノーマルという言葉は、このコロナ禍で出てきたものではないことをまず思い出しておこう。

➽3度目のニューノーマル

覚えている限りでいうと、ニューノーマルという言葉が使われるのは、新型コロナ感染拡大で3度目となる。

最初は2008年頃のリーマンショックを含む世界金融危機の後の経済を表す言葉として登場した。ビジネス・経済界で語られていた。要は新しいビジネスの業態を模索しなけばならないということだった。

二度目は2010年ぐらいから2012年にかけての大景気後退の後の状態を表す言葉として再び登場した。一度目の続きではあるが、金融の世界で使われており、構造的な変化が求められることが謳われていたが、社会全体に変革が求められているわけではなかった。

そして3度目となるのが、新型コロナウィルス後のニューノーマル。
社会インフラも壊れかかっており、日常における衛生保全に誰もが努めていて、コロナ前と同じような暮らしや仕事の進め方はできないと言われている。
今回ばかりは、社会全体に変革が求められている。

➽経済活動と感染拡大防止を両立させる「人の動き」

人が移動し、人が集まり、人が直接的なコミュニケートをし、信頼できる相手を見つけて、ビジネスは成り立ってきた。これが地域から全国へ、そしてグローバルへと広がっていったというのが、経済活動(事業活動)の本質だ。
ところが感染拡大防止は、人の移動に制限があり、人の集まりに制限があり、人との直接的なコミュニケートに制限がある。身体的な「共鳴」というものがない世界に突入しつつある。

冷房と暖房を同時にかけているようなものだといった喩えもあれば、ブレーキとアクセルを同時に踏んでいるようなものだという喩えもある。
さもありなんとも思うが、どうもどちらも「人」に関することであるのに、人によっては、「人」に焦点があたっていないのではないか?「金」と「人」といった別物として考えているのではないか?と思える人もいる。

人がいなくなれば、経済は成り立たない。これは既に証明された。ならば人が移動しなくても、人が集まらなくても、人が直接的にコミュニケートしなくても済む経済事業活動を考えていかざるを得ない。「両立」というのであれば、そこを考えていくことになり、企業が舵を切る方向も判断しやすい。

その方向は、現在はオンラインもしくはバーチャルといったものぐらいしかない。オンライン取引、オンライン消費、オンラインセミナー、バーチャルオフィスなど、ほとんどのことがインターネット上でできる状態になっており、これを活用する動きも活発になってきた。しかしこれがベストウェイであるかどうかはまだわからないと捉えておくことも必要だ。

ただ、これはこれで競争が更に激化するのはわかりきっている。
同じインフラ上、同じプラットフォーム上、同じマーケット上にありとあらゆる業種が移行してくるのだ。直接的競合ではなくても、同じプラットフォーム上で誰かのポストによっていきなりバズりはじめることもある世界だ。競争は激化していくし、そのスピードはとてつもなく早くなることは想定できる。

「なんとかなるだろう」と、のんびり構えている内に、他社にぶんどられてしまうことはあり得る。実際に緊急事態宣言期間中に自宅待機になった営業担当者が、お休み気分になってしまい、進めていた話をオンライン商談で他社に持っていかれたという話をいくつか聞いた。

中小企業には、オンラインに乗り遅れているところが多く、どこから手をつけていけば判断がつかないとよく聞く。優先順位をつけにくいという声をよく聞く。

本当の意味でのニューノーマルになってからでは遅いということはわかっているのであれば、失敗は今の段階で、早い内に経験し学んで行く他はないだろう。
ある程度、進めていく方向性が見えているのであれば、アジャイルなアプローチで進めたり、デザイン思考で進めていくこともひとつの方法だろう。

では、そういった取組をいつまでにできるようにしておく必要があるかを考えてみると、これもまた誰にもわからない。それでもざっくりとした目安はつくかもしれない。その目安となると思われるステップ(区切り)を「人の動き」の観点でまとめた。

StepsToAdaptToNewNormal


















➽➽ニューノーマルに適応するまでのステップ

➽STEP1:NEW Situation – 新たな状況変化

状況変化が続く期間はどれぐらいになるのか?これは誰にもわからない。
わからないが、企業にとっては、何の変化が続くのかを考えてみると、期間は予測できなくても、状況の変化は、ある程度は想定できるのではないか。

①状況の変化が続き、一定しない期間がずっと続く
現在は、第2波に入ったと言う人もいれば、第1波はまだ終わってないという人もいる。いやいや第3波ですという人さえいる。
区切りをつけているのは分析のためであり、変異の区別を見るためのものであって、我々一般人にとっては、明確な境界線があろうはずがない。
強いていえば、境界線をつけることによって、現在がどんな状況にあるのかを掴むことぐらいしかできないだろう。
なんにしても、状況の変化は続き、一定することはないのが現実だ。
ここまでが第1、ここからが第2とするのは、状況を把握・理解するための区切りだと思っていても問題はないだろう。

実際の波は、続いているもので、切れ目はない。
コロナの波は人の動きで影響が出ているのだから、これに切れ目はない。
最初は小さな波が連続し、それでゆっくりと大きな波が来る。ゆっくりと感じるだけで実際はかなり早いスピードで来ている。そして突然更にでかい波が来る場合もある。その後、また小さな波がゆるやかに続く。
この波のなんたるかは我々市井に生きる者にはわからないが、人の動きに影響されていることだけは明らかだ。

我々にできることは、どうしても後追いになってしまうが、この一定しない波自体の動きを見逃さないようにし、その影響を想定することぐらいだ。

東京などの都市圏から離れた地方だと、この変化の波が来るのは、多少時間が経ってから来るということはわかっているということだが、だからといってのんびり構えているわけにはいかないことも現実としてある。
情報はコマ目に取りにいく姿勢は求められる。

2020.07.31追記
本日、政府の感染症分科会で、新型コロナウイルスの感染状況を4つの段階に分け、必要な対策を検討していくとする考え方が発表されました。指標となる数値はこれからとのことだが、企業にとっては、それに関わらず、この4段階に沿った事業継続対策(BCP)を構築する必要がある。
4stagesOfInfectionStatus 20200731-NHK
引用元:NHKニュース:東京と大阪のコロナ感染状況は「感染漸増段階」政府 分科会
















②県外移動も含めた自粛要請や緩和が繰り返される期間
そういった波の動きは、一定しないものであるので、自粛要請と緩和は、程度の差こそあれ、繰り返されることになる。
今、現在は、自粛そのものはあまり語られていないけども、東京はこのまま200人越えが続くと、そうも言ってられない状況に陥るだろうし、東京との往来にも自粛要請が入る可能性は高い。実際GoToTravelでは東京は除外された。

③厚生労働省や行政からの注意喚起が続く期間
これは三密回避や手洗い、マスク、ソーシャルディスタンスといったもので、既に誰もが理解し、取り組んでいること。
これが習慣化するにつれ、元の姿に戻ることはないだろうとも言われている。
業界別にガイドラインは策定されているが、その通りやっていても感染者が出ているのは現実としてある。今や家庭内感染の可能性もあるとされている。

④PCR検査や抗体・抗原検査が徐々に増加する期間
検査が行き渡る期間もNew Situationに含まれる。
勘違いしている人もいるようだ。PCR検査で陰性だったとしても、今後大丈夫ということではなく、「その時は大丈夫だった」ということ。
そうでなければ、プロスポーツ選手が定期的に、あるいは試合ごとに、PCR検査をしていることからも理解できるだろう。実際Jリーグの選手に陽性者が出て試合が中止になってしまった。

あるいは若い人は感染しても無症状だから大丈夫、あちこちに行っても大丈夫という勘違いもあるようだ。状況の変化は、こういった勘違いからも生まれて来る。夜の街に客として出入りしている人達の中には、こういった勘違いからの行動もあったのだろう。
こういった勘違いがある以上、一定することはない。
のんびりしたいところだけども、そうもいってられない期間はまだまだ続く。
これには疫学的な正確な知識がない我々一般人は、最大限の安全な行動を考えていく他ない。

⑤ワクチンや特効薬がない期間
ワクチンや法定特効薬が開発され、実用段階に入りだすと、新型コロナによる変化の波は徐々に消えていく。消えてはいくが、一瞬で消えるわけではない。
日本国内、世界に行き渡るまで時間はかかり、それまでは変化の波は少なからず続くということだ。

また、「感染者ゼロ」を望む風潮が感じられるが、ワクチンができたところで、ワクチンが効かない人も一定数でるだろう。それはインフルエンザと同じ。
これは勘違いしやすいところなので気をつけたい。

➽STEP2:NEW Changes – 新たな変化と変更(変容)

①行動変容の習慣化
自粛要請と緩和の繰り返し、それと三密回避やマスク、ソーシャルディスタンスといった厚生労働省や行政からの注意喚起が続くと、これらの行動変容は、いずれ習慣化される。

②行動変容による人間関係の変化
行動変容による最も危惧されることは、関係性の変化。
これはソーシャルディスタンス、密接に関係するところ。

物理的に距離が離れてしまうと、どうしてもコミュニケーションが取りづらくなる。少し大きめの声になり、会話も短時間になり、言葉が断片的になりがちになる。コミュニケーションにおいて、会話が断片的になると関係性も薄れていくのは必至だ。

サクサク会話が進んでいるようで、表面的で断片的な会話が続き、ツルツルすべる感じだと言えばイメージはつくだろう。
初対面の人との関係性をつくっていくのはますます難しくなっていくだろうし、関係性があった人でも、薄れていく可能性は否めない。
ましてや、現代はどちらかというと「言葉」そのものに焦点があたり、相手に対する配慮が薄れていっていたのだから、尚更だと思える。

一方でリモートワークやオンライン・コミュニケーションを進めていくことになる。リアル・コミュニケーションほど、配慮が出来ないので、同じように伝えていても伝わらないこともあり得る。

これはリアル・コミュニケーション中心で業務を進めてきた企業にとっては、かなり踏ん張って習得していかねばならないコミュニケーションスキルになる。
オンライン・コミュニケーションは、会話だけとは限らない。テキストコミュニケーションも含まれる。メールやチャットの作法やマナーは手紙とは違っているので、いくつも使い分けていくことも求められる。

③健康意識への行動変容
コロナに罹りたくないと思っている人は、健康づくりに関心を持ち始めている。
これは緊急事態宣言期間中からの消費動向を見ていても明らかだ。
食料品の中でも乳酸菌関係など健康食品関係の消費の伸びは顕著だった。
免疫力獲得を期待してのことだろう。

また特に都市圏では、リモートワークが増えて、運動不足に陥りがちなり、やたらジョギングやウォーキングをする人が増えた。
オンラインでも、運動不足解消に留まらず、身体の健康を保つ運動や料理、体温上げて免疫力をあげようといった動画や、オンラインセッションが矢継ぎ早に配信された。

多くの人が、ヨーロッパで起きている惨状をニュースで見て恐怖におののき、感染したくない、健康でいたいと考えるようになり、室内用運動器具の購入量も増えた。その中には、太ってしまうので、ダイエット目的のものもあった。それにしても免疫力を保つ筋肉が落ちてしまうのを避けたいといったところだろう。

企業の事業活動についても、健康面での安全性担保は常に求められる。
コロナ以前から高齢化しており、生産性は落ちていくことは予想されていた。
RPAなどでの自動化も導入したり、AIやロボットを使っての作業効率を上げていくことも、このステップには含まれる。

健康意識の高まりのひとつにマスクがある。当初、不織布で白いマスクのみだったが、入手困難・価格高騰の中、洗えるマスクが登場した。更にファッション性の高いものが登場し、服装とコーディネートするといったファッションアイテムとして定着しつつある。これはわずか4ヶ月程度の間での変化だが、驚異的なスピードだ。

また事前予約必須、マスクを着用していない場合は、入店禁止という措置を取り始めたショップやレストランも出てきた。これは社員を守ると同時に、他の顧客を守ることにつながることになる。こういったことが当たり前になるのかどうかは、今のところわからないが、しばらくは増加していくと思える。


④行動変容の中でのお金の流れの変化
行動変容が習慣化するにつれて、経済活動の変容も考えざるを得ない状況が生まれた。なんといってもオンライン消費の増加は飛躍的に伸びたことは誰の目にも明らかだった。加えて現金を扱う銀行の支店が縮小されたり、ますます現金を扱うことが少なくってきている。

日銭商売の企業は、現金中心で進めてきたものをQRコード決済やクレジットカードによるオンライン決裁に変更せざるを得なくなる。この傾向は今後ますます増えていき、お金の流れそのものが変わる。

BtoBにおいても、基本的にこれまで銀行振込であったものが、クレジットカード払いも可能にするなどの企業や士業も出てきた。一昔前の短期手形の感覚になりつつもあり、クレジット会社への手続きの代行業務を行う業者も出てきた。これは価格高騰を示唆しているように思える。
このように現金商売がますます難しくなっていくのは火を見るより明らかになってきている。
そうすると、こういった一連の行動変容の変化によって、当然、企業の事業成果も変わってくる。

➽STEP3.NEW Results – 新たな行動変容・経済活動の変容による成果

①New Changesによる変容による成果
一連の行動変容によって、最低でも関係性の変化、健康意識の変化、お金の流れの変化が生れると考えられる。これは上記した通り。

②計画通りの成果は得づらい
今のところは計画通りの成果になるかどうかは不明としか言えない。
コロナ以前の平常時でさえ意図する成果には、なかなか至らなかったことを考えれば、推してはかるべしと言ったところ。
できることは全部やればいいが、それをやれるだけの人員が確保できない中小企業にとっては優先順位をつける他ない。

③得た結果から次の事業活動へ活かす学びを得る
行動変容、自粛要請と緩和の繰り返し、そして政府が推し進める経済活動によって、状況変化はずっと続くとことは何も変わらない。人の動きに影響する。
我々が更にできることは、これら一連の流れの中での経験を学びに変え、次々と活かしていくことぐらいだろう。

④学び活かせてこそ、成長につながる
学んだことを活かして、次に活かし、改善を繰り返し続ける。
あるいは先を見越してチャレンジを繰り返す。
先といっても、一歩二歩程度しか想定できないのが現実だろう。
それでも進めていくしかないので、止まることはないようにしたい。

学びを活かして成長につなげることは、マネジメントにおけるPDCAそのものだが、これにスピードが加わることになる。
最低でも月次単位で行っていたマネジメントをBCPに基づき、2週間単位に変更していくことは必要だ。そうしていくことで「適者生存」につながるのだろう。

➽Step4.NEW Normal-新たな日常

上記の大きな3ステップを繰り返しながらも、いずれは落ち着くことになる。
そこでようやく、NEW Normal-新たな日常を本当の意味で迎えることになる。
しかしワクチンや特効薬が開発され、行き渡るまで、長い時間はかかると想定しておいた方が良い。
企業にとっても、働く者としても、生活者としても、それまでにどれだけ変化に適応し続けて、成長したかが問われるだろう。

そして、ようやく辿り着いたこの段階で求められるのは、「再成長戦略」と言われるものが出てくるだろうと想像する。

➽➽本気で自分と会社の体質を変えるチャンス

今の状況は、多くの企業にとっては経済的には危機的状況であり、ピンチ。
裏を返せば、それだけチャンスではあるけども、簡単なものでもないことは誰もが承知していることだ。難しいからといって放棄しても進められない。
ただ手をこまねいているばかりでもいられないし、コロナ以前に戻らないことを誰もが想像しているのも事実。同時に元に戻って欲しいという祈りにも似た願いもあるにはある。これも人の動きに影響を与えているのだろう。

不安を抱えながらも、できることを最大限、やっていくしかないし、取り組んだことがないことであっても、できそうなことはトライ&エラーを繰り返していくしかないだろう。

➽誰が何の責任を持ってやるのか?

もちろんそれは誰か他の人がやってくれるわけではない。
トップも含め社員一人ひとりがやることが求められるし、全員でやることになる。そしてお互いに協力することも求められるし、一人ひとりが我がこととして捉えて取り組んでいくことだ。

●立場や役職を越えて、一人ひとりが最善を尽くすこと
自分の生活がかかっているし、誰も経験したことがない状況。
役割分担するのは必要だが、それでできなかったとしても、責任追及したところで、何も生まれない。いくら「成果主義」に切り替えようと、昔の失敗を繰り返すことは誰もしたくないだろう。
重要なことは、オンラインへ移行することではない。移行しても協力ができる・生れる環境をどう創り出すかにもかかっている。
そのために、一人ひとりが最善を尽くすことに他ならないだろう。

2020年7月20日月曜日

経験からの学びを止めるな。

緊急事態宣言解除後、ほぼ約2ヶ月。いったん収束方向にむかっていたものの、
誰もが感染拡大防止策は続けているにはいるが、感染者数がまた増え始めてきている。もし、本当に気の緩みであるとすれば、それぞれが気を引き締めればいいわけだが、我々が更にできることは、この間で経験したことから学びを得て、次に向かうための糧とすることだろう。

➽成長の糧になるものはあるはずという問い

新型コロナウィルス、COVID-19、クラスター、自粛要請、ロックダウン、オーバーシュート、Stay Home、緊急事態宣言、医療崩壊、テレワーク、リモート、コロナ禍、ウィズコロナ、アフターコロナ、アンダーコロナ、エクモ、アビガン、コロナ疎開、コロナ離婚、オンライン会議、リアル、バーチャル、アベノマスク、新しい生活様式、三密回避、ソーシャルディスタンス、ニューノーマル、感染者数、陽性率、エピセンター、エピカーブ・・・この間さまざまな単語や言葉が飛び交い、我々は言葉を覚えながら、誰もが新しい生活様式を開始し、続け、今も続行中だ。
続行中だが、次に進むためには、生活者として、働く者として、一旦止まって見るてはどうか?どんな経験をしてきたのか?あるいは経験中なのか?
まず、この問いから見ていくことにしたい。

NeverStopLearning
















➽➽経験からの学びを止めるな

➽問い:コロナ以前とコロナ禍の行動にどのような「違い」があるか?

この問いは、緊急事態宣言中や、ウィズコロナでどんな経験をしたか・しているかを自分に問うことが目的だ。

例えば、よく聞く話しのひとつに、報道番組やニュースサイトを見る回数がコロナ以前よりも、かなり増えたというものがある。
誰もがナーバスになっていたし、正確な情報を得ようとした。
それは「生存」することを目的に正しい判断や選択をしたいと考えたからだ。

まずは、箇条書きで、順不同で構わない。思いつく限り書き出す。
この回答に正解はない。あるとすれば、自身の答えに納得できるものがあるかどうかだ。

➽問い:それらの行動を取っている時、どのような感情でいたか?

自身にとって、コロナ以前と違った行動を感情面で区別する。
感情面で区別するといっても、ざっくりで十分だ。
自分自身が心理学の専門家でないかぎり、細かく分けられないだろう。
細かくわけたところで、感情の識別トレーニングを受けている人でさえ、非常に難しい。
自分にとって、「良かったもの」「嫌だったもの」「どちらとも言えない」の3つに分けるだけで十分だ。

➽それは自助か?、共助か?それとも公助か?

感情面での区別を付けた後、更にその目的を考えてみる。
コロナ禍での行動の違いは、全てが「守る」ことが目的だったはずだ。

守るということでいえば、自助、共助、公助は防災対策の3要素だが、これは感染症対策にもあてはまることだ。
・自助とは「自分(家族)の命は自分(家族)で守る」
・共助とは「自分たち(顧客・地域・組織・グループ)は自分たちで守る」
・公助は「公的機関が守る」
「良かったもの」「嫌だったもの」「どちらとも言えない」に区別したものを、この3要素のどれに相当するかを検討してみる。

「良かった」と思えるものは、自助、共助につながっているはずだ。
どちらとも言えないというものは、望みもしない共助があったのかも知れないし、必要だけど嫌いだというものだったものかもしれない。

嫌だったもの、どちらとも言えないと捉えていたものも、少なくても自助に必要なことは理解できるだろう。
自分にとって好ましく思えないのであっても、これが共助につながっている視点があると、他者に役立つことであることぐらいはわかるだろう。

最初から公助をアテにしたということもあり得るし、その反対でまったくアテにしていなかったということもあっただろう。市場からマスクが消えた時のアベノマスクはその最たる例だろう。発表された時は多くの人が期待し、サンプルを見て落胆し、不要と思った人も多いだろう。

➽目的のない行動は形骸化し、忘れてしまいがち

感情的に嫌なものは、いやいや実行するけれど、その目的を忘れてしまうことになる。以前、「目的不明の会議は中止しても問題ないは本当か? 」にも書いたが、目的がないものはカタチだけになり、いずれ形骸化する。
いずれにしても目的がない、あるいは忘れてしまった行動は、手段が目的化してしまい、結果、形骸化したり、ついつい求められる行動そののものを忘れてしまうのは、コロナ以前であろうが、ウィズコロナであろうが、アフターコロナだろうが、常にあるので、気をつけたいところだ。

手前味噌になるが、「外出時のマスク着用」がまだ習慣化していなかった頃、ついつい忘れることが多々あった。
感染拡大防止のために必要であり、自分を守るためにも必要で、今や社会性を保つためにも必要だと捉えているが、嫌いなことには変わりはない。ただ私自身の中では、付け忘れることはなくなった。
余談だが、マスクはもはや毎日洗うという意味で下着化、Tシャツ化してきている側面もある。

➽問い:経験から次に向かうための学びは何か?

経験からの学びを得ることが目的の問いではあるが、生活や仕事の立て直しを図るためのものでもある。

「経験はいずれ美化された思い出になる。」というのは、誰もが一度は耳にしたことがあるだろう。経験はどこかの時点で美化される。
これには、2種類の美化補正がある。

ひとつは、経験から学びを得て、その後の向けて活かそうとする時。つまりは成長思考であり、未来思考であり、創造思考につながるものだ。前を見た時点で経験は時間の経過とともに思い出になり美化される。

もうひとつは、「昔は良かった物語」をする時。この美化時点で学ぶこともあるが、もう次の活かすことはないことを薄々感じながらも、同じことを繰り返してしまう自己肯定に帰結するものだ。これを否定するものではないが、今はその必要はないということだ。

今、必要なのは、前者の学びだ。どんな状況においても、現実は常にそこにあり、立ち向かっていかねばならないし、常にベター、ベストな状態を保って行かねばならないと考えると、コロナ禍での経験から学びを得て、次に活かしていくことも考えたいところだ。
後者の学びは、もっと数年先に嫌でも思い出すことになるだろう。

➽問い:会社としての経験からの学びは何か?

緊急事態宣言解除後から約2ヶ月経った。
元のカタチに戻ってしまった企業も多くある。
大事なことは、緊急事態宣言期間中の経験から学びを得るということだ。
はっきりとわかっていることは、元に活動状態に戻して、いくらアクセルを踏んでも、経済活動に思うようなドライブはなかなかかからないということだ。
ドライブがかからないまま、アクセルをいつまで踏み続ければ良いのか、そのうち現場から悲鳴に近いクレームが出てきてもおかしくない。
そういう会社からは人は離れ、また近寄ってもこないだろう。
新たな立て直しが必要だ。
新たな立て直しなくして、ニューノーマルには向かうことはないだろう。

立て直しについてのベストウェイはまだはっきりとしたものはない。
現在目立っているのは、せいぜいがリモートワークの延長線上にあるものだ。
これはこれで一つのベターウェイだと言えるだろう。
ベストと言えるかどうかは、まだ先の話しだ。

リモートワークに移行した、時間差出勤をするようにした、チーム制にした、できることをやったが、ベストウェイが示されることは当面あるはずもなく、それぞれの企業が模索していくしかない。
まずは業績を回復させることだが、従来のやり方に感染防止策を続けていくだけでは、回復は覚束ないのはわかっているはずだ。
新たな立て直し=回復のために何が必要か?
「学びを止めるな」ということだ。

➽➽ブレーキとエンジンを同時に踏むことではないことを探す

感染拡大防止策と経済活動策を同時に実行することは、「ブレーキとエンジンを同時に踏んでいるようなものである」と巷では語られている。
感染対策と経済対策を別物として見れば、選択肢として、そのように思えるのは理解はできる。
「じゃあ、どうすればいいのか?」という疑問が出てくるのも当然だ。
しかし冷静に考えてみれば、その疑問は、コロナ以前の経済活動をそのまま維持し、続行したい・・・つまりは元のカタチに戻したい・戻りたいという考えから発生しているものだ。そうなればいいと誰もが思っているのは間違いないだろう。私もそう思うし、そう願いたいところではある。
しかし一方で、元に戻ることはないという共通認識も生まれている。
となれば、立て直していくためには、ブレーキとエンジンを同時に踏むことではないことを探す他ないだろう。
簡単に表せば、「新しい仕組み、新しいシステム」を考えて行く他ない。

現在のクライアントには、新たな立て直しのための考え方は伝えた。
ここに書いた問いも伝えてある。
今後、具体的にしていく上で、一緒に考えていくことになるが、やったことがなくてもやらねばならないことも出てくるだろう。そして当面、模索を続くことだけは間違いないだろう。

経済活動は、人の営みであって、人がいるから成り立っている。
人がいるからこそ、需要も消費も、供給も提供も生れてくる。
これにトレンドやリピュテーションが加わる。
現在は、企業としても、自助が共助につながるし、それががあってこその経済活動だ。
眼下の状況では、感染対策と経済対策は決して別物ではないし、選択肢でもないことは忘れないようしたい。

2020年6月20日土曜日

理念に立ち戻り、第2波に備える

2020年最初の投稿記事で、「VUCAな状況が続き、3年先も見えず、今の経営者は心中穏やかではない」という話を書いた。
これに新型コロナウィルス感染拡大が拍車をかけ、わずか数週間の間に誰も経験したことがない危機に直面した。従来の経済活動や一人ひとりの行動のほとんどに自粛や実質的な一時停止を求められた。
6月19日、県境移動、自粛要請がほぼ全国的に解除され、街に人の姿が戻り始めている。

コロナショックが始まってこれまで、企業トップや各層のリーダー達は、過去に例のない状況での事業活動を余儀なくされ、新型コロナによる不確実で不安の連続の日々を乗り切るための迅速な判断が求められた。しかしまだ終わったわけではないことも事実。悩ましいところだ。

コロナショックからの約5ヶ月、企業のリーダー達は何を基準に判斷をしたのか、そして「新たな日常」における企業の在り方や第2波に備えながらの経済活動は、何を基準に判断していくことになるのかをまとめた。

➽➽リーダーの姿があぶり出された

今年2020年の1月後半からの約5ヶ月は、毎日のように、新たな決断が求められ、かつてない程のスピードが要求された。
業種によっては廃業に追い込まれた会社も多々ある。
今後、第2波、第3波に備えつつも、事業体制あるいはビジネスモデルさえも変えて行かざるを得ない状況下であることには違いない。
そういう意味では、経営トップのみならず、リーダー達の真価は問われることになる。

➽社員の立場から見た「あぶり出されたリーダーの姿」

阪神大震災の時も、東日本大震災の時もそうだったが、危機的状況に陥った時、経営トップや組織のリーダー層の素の姿があぶり出される。

・必要な情報を集め、素早い判断と柔軟に適応策を次々と打出したリーダー
・最初は素早い判断をしたが、それで安心したリーダー
・部下からの意見を求め、判断・決断も委ねたリーダー。
・いつもと同じプロセス・手順にこだわったリーダー
・うろたえているばかりで、指示を待つだけのリーダー。
・手の打ちようがないと、諦めたリーダー。
などなど、様々なリーダーの「素の姿」があぶり出された。

こういったリーダーが、どんな判断をし、そのスピードがどれほどのものであったかというところは、社員の心の中に刻まれたことは間違いない。
きつい言い方だが「アテになるリーダーかそうでないか」ということだ。

これらのリーダーのうち、社員に安心感を与えたのは、上記の一番上、「必要な情報を集め、素早い判断と柔軟に適応策を次々と打出したリーダー」であることは間違いない。

しかし、これとて社員にしてみれば、文句のひとつぐらいは出ることもあっただろう。完璧な安全、完全な給与保証がなければ、絶対的安心というのは生まれないからだ。完璧で完全な保証というものは、どんな企業でも無理な話だ。
ほとんどの企業は、安全・安心と事業継続のバランスを推し量らねばならなかったというのが実情だろう。だからこそ慎重にならざるを得なかっただろうし、判断が遅くなったことも否めないのだ。

では、素早く柔軟な適応策を打出したリーダーは何を基に判断をしていたのか?
クライアントとオンライン会議を重ねている中で、チラホラと聞こえて来たことがある。

➽➽判断の軸を理念に置いたリーダー

まず勘違いしないでもらいたいのは、素早い判断と柔軟に適応策を次々と打出したリーダーが、精神的に強いとは限らないということだ。
私が知る限り、むしろ臆病で心配性の塊のような人達だ。
楽観的な側面はあるが、モノゴトを見る時は楽観視することはない。
慎重派であることはまちがいなく、彼等が真っ先に考えたのは「社員の命を守ること」だった。そして決めたことを実行に移すのが早かった。
これは阪神大震災や東日本大震災の時にも、素早く考動したリーダー達の姿と共通する。

情報収集・判断・柔軟で実行も素早い。なのに慎重。

こういうリーダーの特徴には共通点が2つある。
①「何のために、誰のために、早くやらなければならないのか?」が明確。
②止まってじっくり考えることと走りながら考えることを区別している

上記①はモノゴトの目的を明確にする為の問いそのものだ。
企業における目的は、全て理念に定義されている。
彼等は判断軸を企業のあるべき姿として定義されている「理念」に置いていた。
社員を守ることが、顧客を守ることに通じ、事業を守ることになる。
更に社会を守ることにもつながる。といった考え方だ。

この考え方は、最近ではパーパスドリブン経営ともいうが、随分以前からある理念に基づいた経営手法となんら変わりはない。
パーパスドリブン経営は、端的にいうと「存在理由」「存在意義」というものだが、実際は存在理由も含めた経営姿勢であり、行動指針といった理念に基づいた経営手法だ。

何のために存在しているのか?そのためにはどのような経営をするか?そしてどのような行動をするのか?この問いへの回答は、全て理念に定義されている。

社員、顧客、事業、社会・・・いずれも「人」がいるからこそ成り立つ。
そうであるからこそ「人」を優先するのは当然だ。
更に、多少の経済的余裕を有していたり、余裕がなくてもできることは何か、コロナ収束後につながることは何かと考え、あるゆるステークホルダーにも気を配った企業もある。

弊社が関わる国内外のクライアントも、納入業者、取引先、地域の医療従事者などを支援した。また弊社のような人的サービスの契約をしているところまで配慮し、契約は続行、購入困難状態にあったモノを送っていただけたことは、ありがたかったし、改めて頭が下がる思いだ。

②の区別は、モノゴトに対する区別化だ。
ざっくりと言えば、問題と課題の区別。あるいは以前と以後の差異の見極めといってもいいだろう。自社で変えられるものと変えられないものは何かを区別していたということだ。この考え方は問題解決の考え方そのものだ。

ReturnToPurpose
















➽➽慎重なリーダーの迷い

そして徐々に要請という名の規制が緩和されはじめ、都市圏としては最も遅れていた東京都も、ほぼ全面的に解除となった。県境またぎ移動も可能となった。
あらゆる企業の経済復旧活動が始まっているが、上記のリーダーはまだまだ慎重でいて、楽観的な素振りをしていても楽観視は一切していない。

慎重になっているその理由は以下の通りだろう。
●第1波は収束傾向にあるとされているが、まだ終わってはいない。
●第2波はすぐそこに来ているし、いつどこで感染クラスターが発生するか、本当のところはわからない。
●ワクチンが開発されても、それが行き渡り定着するまでは、1年半どころか3年程度はかかるかもしれない。
●緩和・解除されても、コロナ以前のような経済活動ができないことは理解しているが、その方法は模索中。
●補正予算を成立させ、支援をするといっている国や自治体の支援がどこまで期待できるかは不透明。もともと財源が赤字の国だからだ。
といったところがわかりやすいところだ。

加えて、金融系・損保系のアナリスト達は、これからしばらく、2008年の金融危機後の大不況と同じように状態になるとも分析している。特に米中の関係は日本に大きな影響をもたらす。しんどくなることは極まりない。
事業の売上拡大どころか、売上の維持が難しくなるのは目に見えている。

そうすると、リーダーとしては、以下のことにも慎重にならざるを得ない。
●配送・宅配・入替・陳列とデジタル化不可能な商品取扱の代替に伴うコスト
●顧客や取引先のオンライン商談、人材育成のオンライン化への切換えに伴う自社対応コスト
●急遽リモートワークに切換えた業務継続でに伴うコスト
●リモートワークを加速させるためのクラウド化に伴うコスト
●オフィスレイアウトの変更やこれに伴う改修コスト
●国や自治体からの支援策で借りたお金の返済
●デジタルマーケティング強化に伴うコスト
などなど、上げていけばキリがないが、どれも「社員の安全・安心」と「顧客の安心・安全」を中心にした考えからの発想に他ならない。

➽社員の安全優先か利益が優先か?そこではない。

ここでコストをカバーをしなければならないことに焦点が当たりすぎると「利益確保」「利益目標」というものが当然のことながら第一優先となる。
どれだけ素早い判断と慎重さを兼ね備えている企業トップやリーダーであってもも、この点=「社員の安心・安全優先か、利益優先か」で、大きく悩み・迷うことになる。

一方で、素早い判断・柔軟かつ慎重のリーダーの下で働く現場の社員はどうしているか?
彼等は、どうすれば仕事をより確実に続けられ、顧客との関係性を維持していけるかを模索し、工夫を重ねている。
そうすることが自身の仕事・業務であり、自身の生活を守ることに他ならないと知っているからだ。
これは現場社員が、常にセルフコンセプトや会社理念に判断軸を置いているという証左だ。

もう答えは明白だろう。

➽➽理念に立ち戻り、第2波に備える

常々私がクライアントに一貫して伝えていることだ。
「迷ったら理念に立ち戻る」
特に今は理念に基づく判斷・意思決定を続けていくことになる。
社員を守ることが、顧客を守ることにつながり、事業を守ることになる。
理念に立ち戻れば、何を優先していくかは明らかだ。

➽リーダー自身が自分に理念を問う
現在の状況下で、経営トップや幹部がリーダーシップを発揮するには、リーダー自らが問いを持つことだ。
●まずリーダー自身が心身・思考共に最善の状態を保つこと
・常に自分自身への「問い」を持つこと 
 例えば、「今、最速スピードで意思決定するには、自社に足りないことは何
 か?」「自社内で変えられるものでも、変えられないと思い込んでいるものは
 ないか?」といった具合だ。自身の中で浮かんだ疑問をそのままにしておくこ
 とは、お勧めしない。
●そして最善を尽くすこと
・仕事仲間や周囲の人達を支援・助けるために何をするか・しているか?
・自身の成果と組織の成果をつくりだすために何をするか・しているか?

これをもっと簡潔に、はっきり言えば、
「今は儲けよりも、できるだけ稼ぐこと」
もちろん、社員を守ることが第一だ。
だからこそ、今は利益を目標とせず、動ける範囲で稼ぐことだ。

稼ぎが出れば、会社は回る。
稼ぐことを少しでも大きくする。
これには少なからずチャレンジを伴うことになる。
そうしていく中で、新たな利益も確保できていくだろう。
社員は不安の中でも、これも知っている。
実際、自分が何をすべきかを自ら発見した社員の士気は高まっている。
これを諌めるリーダーがいるとしたら、それは大きな間違いだ。

いずれ第2波が来て、また自粛要請が始まることは想像に難くない。
安全を確保しながらも、動けるうちに動ける範囲で、稼いでおく。
そして、この誰もが危機感を抱いている現在、会社の体質を変えていく大きなチャンスでもあることを忘れないようにしておきたい。

東日本大震災時にビジョンと目標の取り扱い方について既に書いているので、そちらもを参照していただきたい。


2020年6月6日土曜日

ウェビナーの成功要因は何か?リアルセミナーとの違いから導き出す

リモートワークやソーシャルディスタンスがずっと要求されている中で、製品や商品、サービスのウェビナーを実施するには、今ほど良い機会はないだろうし、今後増加する傾向していくだろう。
ウェビナーはオンライン会議と同じぐらい簡単に思えるかもしれない。コロナ禍による環境変化は脅威であるが、貴重なチャンスと捉え、ウェビナーをより成功に導くには何を考えていく必要があるのかをまとめた。

Webinar Success Factors

















➽➽よくあるウェビナー開催に関する疑問

多くの企業は、ウェビナーを開催するには、新たなコスト(時間とお金)を投資する必要があるのかと一度は疑問に思うようだ。
少なくとも開催場所を探す・借りる労力と費用はなくなる。
その代わり、ウェビナー開催のための機材・セッティングに労力と費用が必要となる。
ただし、リアルセミナーの場合は費用によって、一回あたりの人数も実施回数は限られるが、ウェビナーの場合は、人数制限を設ける必要はあるが、実施回数は担当者の時間的余裕に左右されるのみだ。

また、これまで実施してきた内容を単にオンライン化すれば、それで良いという考え方もある。それは否定しない。簡単であるし、コストも大してかからない。そのまま転用可能であれば、そうすることで、迅速に実施はできるだろう。

否定はしないが、疑問は2つ浮かぶ。
・そのままオンライン化しても参加者にとって魅力的か?
・そのまま簡単にできるのであれば、もう既にやっていたはずなのに、なぜやらなかったのか?
この2つの疑問に明確な回答を自社内で得られれば、次に何をしていけばいいのかは、明らかになるはずだ。

今回は、1つ目の疑問に答えるきっかけになるかもしれない。
ウエビナーの目的や役割、顧客との関係性構築方法、数あるウェビナーの中で際立たせる方法など、ウェビナー内容を検討・準備していく参考にしてもらえればと思う。

2つ目の疑問は、単に知らなかったか、オンライン化する発想がなかったか、あるいは技術的にできないと思い込んでいたか、費用対効果が判定できない、顧客がオンラインに馴染んでいないのどれかだろう。
いずれにせよ「できない理由」「やらない理由」を並べていただけに過ぎないことだけは、この緊急事態宣言期間中に明らかになった。

➽➽ウェビナー開催の目的は何か?

ウェビナー開催の目的は、多くの人が、リアルセミナーと同じで、集客だと考えるだろう。これが先程のそのまま転用すればいいといった発想につながる。
集まった参加者の情報さえ取れればそれでOKというものだ。

しかしウェビナーの場合、それがオープン参加であればあるほど、参加者は「気に入らなければ、いつでも遠慮せずに退席・離脱できる」という前提がある。例え「途中退席はご遠慮ください」と注意をしていても、クリック1回で離脱は可能だ。
これはクローズなウェビナーでも起き得るし、リアルセミナーでも、数は少ないが、実際には起きている。
この点を注意しながらも、ウェビナーの目的と役割をもう一度考えてみよう。

➽ウエビナーの目的と役割

1.ウェビナーの目的は顧客との関係性を開発・維持すること
リアルセミナーの目的は単に集客することではないはずだ。
それはあくまでセミナーの入口にしかすぎず、活動プロセスの目標(KPI)だ。
セミナーの目指す帰結は、開催側が示す解決策への理解促進と見込客の獲得だ。
実際、セミナー終了後に名刺交換やアンケートといった顧客との関係性の開発・維持をしているはずだ。
ウェビナーがもたらす最大の価値も顧客との関係性の開発と維持にある。
開催側にすると、参加者にはウェビナーで提供した内容をしっかりと記憶に留めてもらいたい。
そのためには、参加者が講演者や他の参加者と交流できる時間と関連性のあるコンテンツが必要となるのはリアルとなんら変わりはない。

●従来のリアルセミナーとの目的の違いは何か?
ウェビナーでは開催中から顧客との関係性の開発・維持のレベルを変えていける=より深めるられることだ。
登壇者(話す人)と参加者(聞く人)の立場に分かれるというより、一緒にその場にいる人といった感覚を持てるようにするのも可能だ。これは上手く活用したいところだ。
より魅力的で親近感を持てるようなプレゼンテーション、よりフレンドリーなプレゼンスが顧客との関係性の開発・維持の重要なポイントとなる。
むしろウエビナーの方が、顧客との関係性を深めていくには好都合だとも言える。

2.ウェビナーの役割は考える切り口を提供すること
ウェビナーの参加者は、ただアクセスして、参加しているのではない。
ウェビナーのタイトルが示すテーマに興味関心があるのは言うまでもない。
それは取りも直さず課題を抱えているからだ。

課題解決に向けての切り口を提供することはリアルセミナーでも同じだ。
切り口を提供するには、開催側のスピーカーが登場して進めるセッションもあるだろうし、業界や企業グループの志を同じくするリーダーを集めることもあるだろう。あるいは外部の専門家を招聘しての基調講演もある。
こういった進め方はリアルセミナーとなんら変わりはない。

●従来のリアルセミナーとの「切り口提供」役割の違いは何か?
リアルセミナーでもウェビナーでも伝える帰結は常に一定している。
その時に理解してもらいたい製品・商品・サービスへの理解促進なのだ。
もっと言えば開催側の営業プロセスに乗っかってもらいたいのが本当のところだろう。

何か違いはあるだろうか。
リアルセミナーであれば、1回きりの切り口提供になる。
単純にオンライン化を図るのなら、セミナー開催中にビデオ撮影し、編集したものをアップロードすれば良いとも言える。
ただこれはおさらい・復習レベルに留まることの方が多いだろう。
リアルセミナー主体で進めている企業の営業としては、次の段階に進んでもらいたいと思うのは当然だ。

ウェビナーを実施することは、オンラインで開催時に示すコンテンツを予め準備することになる。これを単にウェビナーで示すだけだとリアルと何も違わない。

しかし示す切り口を容易に変更していけることがオンラインの強みだ。
この強みを存分に発揮するのに威力を発揮してくれるのが、ペルソナ設定だ。
複数のペルソナ設定をできれば、参加者が考えを深めるための切り口を随時変更した訴求もできる。コンテンツは増やせるし、蓄積もできる。
ペルソナ設定のヒントは、従来リアルセミナーで集積したアンケートに数多くある。
また蓄積したコンテンツは、帰結してもらいたいものへの理解を促進することも期待できる。

切り口をより多く準備し、随時変更しながらも示していくことで、B2Cはもちろんのこと、B2Bであってもビジネスの拡大は期待できるだろう。
ペルソナ設定の重要なことは精緻なものを、複数用意することだ。
B2Bにおけるいわゆる「チャンピオン」はターゲット層にすぎない。
更に一歩踏み込んだペルソナ設定をすることで、訴求力は増すだろう。

3.参加後フォローとして、次のプロセスへ誘導する役割
参加者に対して、ウェビナーだけに終わらせず、その後もフォローし関係性を保ち続けられるようにオンラインコミュニティを用意し、これに誘導する。
ウェビナー後も参加者は課題解決のリソースを探している可能性はあるので、解決へのヒントになるような、自社製品・商品・サービスの最新情報、トレンド情報などについてオンラインコミュニティでの対話を促進しよう。

●従来のリアルセミナー参加後フォローとの役割の違いは何か?
大抵のリアルセミナーの場合、営業担当者が購入・導入見込度が高い参加者のフォローから始めていき、見込度が低い参加者にアプローチする頃には、忘れられている。あるいは見込度が低い参加者を放ったらかしにしている場合もある。営業担当者としては正しい活動ではあるが、忘れられない程度のフォローは必要だ。

リアルであってもオンラインコミュニティに誘導することは可能だが、いったんセミナー会場を離れて、改めてパソコンやスマホでアクセスすることになる。参加者側にすると、このひと手間が面倒だ。
ウェビナー終了直前に、オンラインコミュニティへ直接誘導すれば、クリックをしてもらいやすい。
オンラインコミュニティへの誘導ができれば、見込度が低い参加者であっても、ナーチャリングは効率的にしやすくなるし、次のプロセスである「選別」も進めやすい。

ただオンラインコミュニティへの参加者が増えると、運営そのものが難しくなることも考えられるので、マーケティング系のオンラインコミュニティ担当者は必要になるだろう。

さて、ペルソナを明確にしたとしても、上記の目的と役割を踏まえると、ウェビナーで帰結したいところまでたどり着くのは、容易なことではない。
この後に考えなければならないことは大きく2つある。

一つはウエビナー参加度をどうやって高めるかの方法を考えることだ。
仮にペルソナ設定した人達が開催するウェビナー告知を見つけてくれたとしよう。ここで彼らに参加意思を示してもらえなければどうにもならない。

もう一つは、増え続けている、数多あるウェビナーの中で、どうやって際立たせるかの方法を考えることだ。
ペルソナが抱えている課題解決に向けて、自社の開催ウェビナーが価値の高いものに映らなければ、参加はまずないと考えていいだろう。

➽➽ウエビナー参加度を高める方法を考える

ウェビナーの持つ役割に大きな違いはないが、目的は理解度と関係性の深さに大きな違いがある。
ここで改めて考えたいのは、ウェビナー参加度をいかに高めるかだ。
これはウェビナーに参加してくるであろう人達はどんな状況にあるのかということに大きく影響される。

コロナ以前の状態であれば、考えなくてもよかったことが一点ある。
現在、コロナ禍により在宅勤務、社内でも三密回避が保たれ、慣れない環境変化の中で業務を進めている。
様々なストレスを抱えているのは想像に難くない。
ウェビナーに参加することが「時間の使い方としてベストだ」と感じてくれないかも知れない。選択肢に入れてもらえないかも知れない。
そんな中で参加を促し、なおかつウェビナー中の参加度を高める方法を構築することは、難しい。
どうやって、時間の使い方としてウェビナー参加が価値のあるものにするかを考える他ない。

以下は、従来あるいは現在行われているウェビナーでよく使われている参加度を上げるための方法例だ。
全てを実施することよりも、テーマとペルソナに合わせて企画することが重要だ。

【方法例】
①プロモーション段階において、ウェビナーに出席してもらうためのプレゼントを用意する
②プレゼンテーションが簡潔で視覚的に魅力のあるものにする
③ゲーミフィケーションプログラムを追加する
④スピーカーへの直接質問などの行動へのリワードプログラムを駆使する
⑤ブレイクアウトセッション参加者へのリワードプログラムを付加する
⑥投票、Q&A、チャット、ビデオディスカッションを利用する
⑦ハッシュタグを介して、ソーシャルメディアでの情報を共有する
⑧参加者の都合の良い時間に開催する
⑨長時間ウェビナーの場合、半分以上離脱せずにいる参加者にコンテストや懸賞を実行する

以上が、主だった参加度を高める方法だが、考えていけば他にもあるだろう。

➽➽数多あるウェビナーの中で際立たせる方法

ウェビナー参加度を高めるプロセスに進む前に、参加者を引き付けていかねばならない。彼等は価値のある情報を求めていて、こちらが帰結してもらいたいと考えていることだけを意識しているわけではない。
競合他社のウェビナー参加を選択しないように、自社のウェビナーがいかに参加する価値があるのかをしっかりと伝える必要がある。

ウェビナーを際立たせるのに絶対に間違いのない考え方がある。

「ユニークであること・ユニークさを保つこと」

これに尽きる。ペルソナに合ったユニークさを表すことができれば、数多あるウェビナーの中で、際立つことは間違いない。
これはリアルセミナーを繰り返しやってきた会社でも、実施のたびに繰り返し考えていることだ。

以下は、従来あるいは現在行われている自社ウェビナーを際立たせる方法だ。ペルソナ設定後、これらの方法のいくつかを組み合わせて開催するウェビナーのユニークさを表していくと良いだろう。

【方法例】
①マーケティング活動を惜しまない、削減しない
マーケティング活動における成果物リストの作成はもちろん、リアルセミナー用で準備するステージの装飾、スポンサードの掲示、またスライド中断時の代替表示方法など、ウェビナー構築に関係するものを洗い出し、いかにオンライン化するかをチームでブレストするといいだろう。

②ペルソナが「この人の話を聞きたい」と考えている人を招聘する
有名人や権威ある人であることにこしたことはない。それよりもペルソナがどう捉えるかが重要だ。いくら有名人でもペルソナの課題に直結しない人であれば、単なる客寄せパンダにしか映らない。
招聘する人が有名でなければ、いかにペルソナの課題に直結する人かをプロフィールで紹介することにチカラを入れれば良いだろう。

③参加者がウェビナーを楽しめるケアパッケージを追加する
これは参加者が「同じ時間を使う」同時性を促進するための仕掛けだ。
例えば簡単なスナックを参加者の居場所に送付し、ウェビナー開始時に、開封を促し、「そのスナック、気にいってもらえましたか?」の一言を投げかけるだけで、アイスブレイク効果を発揮する。
参加者が複数人で一箇所からアクセスしていれば尚更だ。

④アクセシビリティを高める
より多くの人に参加してもらいたければ、ウエビナーでのライブキャプション、同時通訳の有無など、多くの人が参加可能であることを示すことや、申込自体も電話受付でも可能といった要素を組み込み、ウェビナーにアクセスしやすいようにしておくことも必要だろう。

⑤ウェビナー開催後フォローのオンラインコミュニティの案内。
上記の役割の違いでも触れたので、ウェビナー参加者はいつでもコミュニティにアクセスし、担当者とコミュニケーションが可能であることを示しておくことも必要だろう。

以上が、主だった際立たせる方法だが、他にも考えれば出てくるだろう。
費用のかかることもあるだろうし、まったくかからないものもあるだろう。

➽➽チャレンジャーかフォロワーか

ウェビナーに限らず、やったことがない、前例がないのは、多くの企業にとっては当たり前の状況下にある現在、環境変化に対して企業はチャレンジャーでいくか、それともフォロワーでいくかを問われているように思える。
多くの場合、どんなペルソナであっても、チャレンジャーには注目する。
そのことだけは忘れないようにしたいところだ。

ウェビナーあるいはリアルセミナーであっても、参加者は、あくまでお客様だ。
そのお客様が求めているものは何か?
そのお客様が「参加してよかった」と感じてもらうには、どうすればいいのか?
それらの問いに自ら客観的に向き合えれば、答えは出てくるだろう。

私は現在、上記の考え方に基づき、クライアントが実施してるリアルセミナーのオンライン化、つまりウェビナー化を進めている最中だ。

Featured Post

現在ツイッターに注力しています

普段、さまざまなクライアント様とのセッションのなかで お伝えしていること・お伝えしきれなかったことも含めて ほぼ毎日、伝えております。 時々、脱線して個人的なやりとりもしております。 いいねをしていただけたり、リプライ、RTをしていただけるとありがたいで す。 https://t...